[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

とある、昔ながらの小さな商店街。
その曲がり角にある青果店「八百藤」さんの看板猫とらちゃんは、推定年齢１０歳の男盛り。
毎朝、トラックの助手席に乗って出勤してきます。助手席は、とらちゃんが景色を楽しめるような高さにしてあります。



遠目だと子犬に見えるくらいの立派な体格。抱き上げたら、砂袋みたいな重量感でした！
「最後に量った時は８キロちょっとだったなあ。まだ、９キロにはいってないと思うけど」と、ご主人。計測器に乗りきらないから、このごろ量れないのです。



子猫の時にウィルスが目に入ったためでしょう、右目が白濁していますが、それもまたいい味と思えるくらいいいオトコです！
「男前だろう？　俺の若い頃みたいにさ」と、ご主人も自慢でならない様子。



大きくて、いいオトコで、気のいいとらちゃんですから、ファンのお客さんもいっぱい。
いろんな手が、買い物ついでに、店頭で寝そべっているとらちゃんを撫でていきます。



「ああ、重い」と言いながらも、抱っこするおなじみさん。
毎日、カツオ節のおやつを持ってきてくれる人もいます。
ちなみに、とらちゃんの好物は、お父さんが市場で買ってきてさばいてくれるサンマの刺身だそうです。



とらちゃんが８年ほど前に現れたときのことを、奥さんが話してくれました。
「向かいの道ばたをとぼとぼ歩いていたの。その様子がかわいそうでね、おいで～と声を掛けたら、通りを渡ってきてね、そのまま居着いちゃったのよ。来た時から大きかったし、人懐こくて、ノラって感じじゃなかったわね。捨てられたのか、迷ったのか・・・」



当時は、自宅で室内犬を飼っていたので、とらちゃんはお店猫に。閉店後も店を離れず、、シャッターの前の荷台で寝ていたそうです。
ワンちゃんを見送ったあとの自宅に迎えられてからは、トラックで毎日一緒に出勤してくるようになりました。「行くよ～」というお母さんの声に、玄関に向かうそうです。
「うちの表札には、俺と母ちゃんと息子の名前の次に虎ノ介って、ちゃんと書いてあるんだ。家族だからね」と、ご主人。とらちゃんの本名は、「藤原虎ノ介」なんですって。



とらちゃんの行動半径はかなり広いそうですが、お店が車道に面しているだけに、事故がちょっと心配。でも、ご主人は笑って言います。
「大丈夫。とらは賢くて用心深いから。手は挙げられないけど、代わりに、尻尾をピンと立ててゆっくり渡るから、車はみんな停まってくれるよ」
たしかに、これだけ大きくて悠然と渡っていったら、目立つことこの上なし。



お散歩のワンちゃんも、大きなとらちゃんと目を合わさないように、無礼のないようにして通り過ぎて行きました。



コワいものなんてなしのとらちゃんと思いきや、じつは、とらちゃんがコワくてたまらないものがひとつ。それは・・・。



「よく降ったなあ」と、夕立のあとの空を見上げるご主人。３輪バイクの荷台で涼しい顔をしているとらちゃんですが、さっきまでトラックの下にこわごわ隠れていたのです。
そう、とらちゃんは、カミナリが大嫌いで、ゴロッとひと鳴りしたら、大急ぎで身を隠すのです。かっわいい！



（カミナリがなってるとき以外は）ライオンのように雄々しい藤原虎ノ介くん。
いつまでも元気で、父さんと母さんに愛され、商店街の人気者でいてね！！