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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2015年03月03日

ちーちゃんの恩返し

ちーちゃんこと、ちー子ちゃんは、7歳のサバ白猫。
ユーミー動物病院で「ユーミー先生」の愛称で親しまれている獣医さんの飼い猫です。

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高いところで、デンとしている様子は、姉御風の風格。
でも、こんなちーちゃんも、ここにやってきたときは、いたいけなおちびちゃんでした。それも、大怪我をして。  

7年前のある昼間のこと。診療所の向かいのフィットネスの先生が駆け込んできました。
「いま、そこで子猫が車にポンとはねられたのを見たんだけど」

先生がすぐ表に出てみると、道ばたで、まだ一か月くらいの子猫が動けなくなっていました。見るからにノラの子です。

子猫は骨盤骨折をして神経をやられていました。小さすぎて手術もできず、とりあえず様子を見ながら自然治癒にかけることにしました。
内臓をやられていたら、生きることはできなかったでしょう。
長年の経験から、先生は「生きる子は生きる」という信念をもっています。

さいわい、チー子と名づけられた猫は、後ろ左足をひきずる以外の後遺症は出ませんでした。

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先生のブログで初紹介の、ちーちゃん。元気になって、よかったね!! 

ちーちゃんは、動物病院のマスコット猫になりました。

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その一年後。

「うちの近くをさまよってたんだけど、もしかしてこの病院にかかってる犬ではありませんか?」と、ある人が、飼い主探しのために一匹の犬を連れてきました。
ボーダーコリーっぽい温和な中型犬です。
飼い主が思い当らなかったため、犬はその人が家に連れ帰りました。
数日後、その人が病院にやってきたとき、先生が「あの犬、どうなりました?」と尋ねると、「遠吠えをするので、警察に連れて行った」との返事。

ほんの短い時間会っただけの犬でしたが、先生はほっておけませんでした。警察に問い合わせると、すでに郊外の大きな愛護センターに送ったとのこと。
このまま、飼い主が見つからなければ、一週間で殺処分の運命です。

先生は、愛護センターまで車を飛ばし、犬をもらい受けました。一瞬しか会ってない先生をその犬は覚えていて、「ありがとう、ありがとう!」とばかり、大喜び。以来、ユーミー先生いのちの「ファルコン」くんです。  

ファルコンとちーちゃんの初対面を、先生のブログから、ご紹介。


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さて、いのちを救われた2匹は、ここで、他の犬猫の命を救うという恩返しをしました。
緊急輸血を必要とする犬猫さんへの輸血です。      

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ちー子ちゃんは、これまでに、ここぞというときだけの、ほんの数回。血液型が一致していることを確かめ、非常にケアフリーに、互いの猫に負担のないよう、輸血は行われます。  
もちろん、健康なちー子ちゃんのからだは、すぐに供血した分の血を作ります。  

輸血猫、というと、「かわいそう」と思うかたもいるかもしれませんが(私も、最初はそう思いました)、輸血猫と先生の間にふだんから愛情と信頼がしっかりあれば、猫同士のすばらしい助け合いだと思います。  

いまは、もう若くはないので、病院のマスコット猫も輸血猫も引退して、自宅で悠々自適の毎日。  
ちーちゃん、恩返しができてよかったね。あとは、長生きすることが、可愛がってくれる先生への恩返しです。

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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

初めまして!
私の飼ってる猫のなのはも、供血猫として病院に登録しています。
これまで2回、輸血をしました。
命を助けるために必要な輸血ですが、人間と違って動物は血液バンクみたいな物はなく、多くの動物病院で、健康な子から貰わないといけません。
しかし、輸血が必要な事態は多くが緊急なので、例えば供血猫登録している猫ちゃんが居ても、すぐに来られないと間に合わない事にも…。
なので、一頭でも多くの若くて元気な子に、辛い思いをしている、危険な状態の猫ちゃんを救うための供血猫登録をして欲しいです。
勿論、様々な条件をクリアして、輸血をしても大丈夫という子からしか血は抜きません。
同じ猫飼いとして、他所の子であっても、苦しそうな思いをしていたら、いつかもし自分の子が誰か他の子に助けてもらうかもしれないという思いもあって、少し我慢してもらう、という思いです。
事情は分からない猫は、しんどい事と思います。
でも、うちの子は、採血の時は嫌そうですが、ご褒美にもらう上等な缶詰に舌鼓を打ってます。
(ちなみに、供血はボランティアです。)
そして、輸血で命を繋いだ猫ちゃんを見て、こういう助け合いがもっと広まって欲しいと思います。

by なのはの姉ちゃん 2015-03-03 20:11

>なのはの姉ちゃんさん

供血猫登録、というのがあるのですね! 詳しく教えてくださってありがとうございます。なのはちゃんも2回、供血したんですね。助け合いが広まりますように。ご褒美制度もいいですね!

by 道ばた猫 2015-03-03 23:23

もう、25年ほど前になりますが、我が家の初代猫《ビビアン》が、「猫白血病」になったときに、病院のお猫様に輸血をしていただきました。結局は、亡くなって終いましたが、白猫がほんとうに真っ白猫になってしまい、歩くこともできなくなっていたのに、輸血をしたとたん、ほんのりピンク猫になり、ごはんを食べ出した時の嬉しさは、今も忘れられません。
お礼のお刺身を、美味しそうに食べていた、お猫様のふっくらした姿が、忘れられません。
本当にありがとうございました。です。

by しぃふぁ 2015-03-04 09:16

うちの白血病の猫(タロ)は病院で点滴を受けていたのですが、
点滴の頻度が増したので、家で打つことになりました。
そのとき、点滴の仕方を病院の猫ちゃんで教えて戴きました。
そのときは、うちの子のためにかわいそうに、ごめんなさいと申し訳ない気持でいっぱいでした。

だれかの役に立てる喜びって、人間の思い入れだけでなく、本当に動物にもあるのでは、と
記事を拝見して思いました。病院の先生と猫ちゃんの間に信頼と愛情があるかぎり
とても尊いことなんだと思いました。

by あずみん 2015-03-04 16:55

>しぃふぁさん

25年も前に、すでに輸血可能な病院があったのですね。大切な血を分けてくれた、病院の猫ちゃん、本当にありがとう!でしたね~。お刺身を食べる姿が目に浮かぶようです。

by 道ばた猫 2015-03-05 00:59

>あずみんさん

そうか、点滴モデルもしてくれたんですね。どんなに助かることでしょうか。親を亡くした子猫の面倒を、他の猫が見るという姿もときたま見ますが、人間が想像する以上に猫の互助精神は自然なものなのかもしれませんね。本当に尊い

by 道ばた猫 2015-03-05 01:03

もう 10年くらい前ですが、公園で保護したみかんちゃんは右足の切断手術をしました。 そのとき、病院猫さんから輸血をしてもらって命が助かり、その後も白血病治療のために三度の輸血で命の危機を救われました。病院猫(病院犬)さんたちには、感謝の気持ちでいっぱいです。

by ruineko 2015-03-05 17:30

>ruinekoさん

みかんちゃんのように、病院猫さん、病院犬さんたちに救われた命もたくさんあるんですね。
供血してくれたねこさん、小さな体なのに、えらい! ありがとう!!
 

by 道ばた猫 2015-03-06 01:29