ページ内を移動するためのリンクです。
ここからメインコンテンツです

[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2012年05月01日

たまちゃん

nekoblog80-1.jpg
 4月はじめのこと、まだうすら寒く、ひと気もまるでない海辺で、この猫に出会いました。彼は、シーズンオフの海の家のバルコニーの陽だまりで、せっせと毛づくろいをしていました。なんとなく哀愁と愛嬌の漂う猫さんです。
 
 「たまちゃん」と、とっさに思いついた名前をよぶと、「えっ」という感じで、毛づくろいをやめました。試合後のボクサーのようなはれぼったい目が、なんともお人好し、いや、お猫よしの感じです。まさに私の好みのタイプです(笑)。
 
 「たまちゃん、海辺のこなの? おうちはないの?」と聞くと、いそいそと私の足元にやってきて、「なんかおやつ持ってる?」といいたげな熱視線で見上げます。
 
 カリカリを少しあげたら、頭をころがせてたいらげ、海辺を歩く私のあとをずっとついて回ります。こんなにひとなつこいなんて、海辺に捨てられてた猫なのでしょうか。      
 
 小一時間いっしょに遊んで、「じゃあね、また近いうちにくるよ。おやつもってくるね」と、別れを告げたときの、たまちゃんの、たそがれ顔といったら。
 
nekoblog80-2.jpg
 気になって気になって、数日後にまたその海辺に行ってしまいました。いました、いました。たまちゃん、またもや、海辺でぽつんとたそがれています。
 
 「たまちゃん、またきたよ!」といったら、すっとんできました。困ったな、情が移っちゃった。毎週おやつを持ってくることになりそう・・・・・・。
 
 そう思っていたら、近くにいた村の人が猫さんに声をかけました。「よかったな、たまちゃん。また可愛がってもらってんのか」と。
 
 えっ、たまちゃん?  「たまちゃんっていう名前なんですか?このこ」とびっくりして聞くと、「たまちゃんはこの海の家の飼い猫だよ。犬も、ほかの猫もいるよ。たまちゃんは海辺が好きでいっつも海辺にいて、みんなに可愛がられて、おやつもらってんだ」とのこと。
 
 たまちゃん。あやうくそのたそがれ顔にだまされて毎週おやつを運ぶところだったよ。でも、おうちがあって、自分のフィールドがあって、みんなに可愛がられてるなんて、最高の猫人生だね!  また会いにいくからね。

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

Instagram

カテゴリ: 道ばた猫日記
  • ツイート
  • いいね!

みにゃさまのコメント

うあー!!ミラクルたまちゃんwww
なんて自由で幸せそうなんでしょう。
すべての猫たちがあこがれる人生・・・・いや、ニャン生ですね♪

by こまち 2012-05-01 16:08

たまちゃん、ぶちゃ顔だけどカワイイ。
地域のみなさん、面倒みててくれてるんですね。
「たま」ってゆー名前は猫にとって良いのかしら。
サザエさんちの猫もそうだし、
どこぞの駅の駅長さん猫の名前もタマだし♪

by きんちゃん 2012-05-01 16:38

佐竹さん、相変わらず持ってますね~。
何気に呼んだたまちゃんが
本当に猫にゃんの名前そのものだったというのは
すごいですねっ。
たそがれ顔、かわいいです♪

by しのりゅう 2012-05-04 17:50

うちのこは『おたまちゃん』といいます。
でも呼ぶときは『たまちゃん』って呼んじゃうときが多いかも・・・。
佐竹さんの出逢った『たまちゃん』の顔!抱きしめたいくらいかわいい。

by よーこ 2012-05-09 00:20