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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

わんにゃん支援活動

2023年01月25日

「NPO法人ニャン友ねっとわーく北海道」さまの活動レポート(2021年度)

フェリシモ猫グッズの販売額の一部である「フェリシモの猫基金」、フェリシモメリーポイントの「動物たちの保護と飼い主探し支援」、 毎月ひと口100円「フェリシモわんにゃん基金」等でみにゃさまからご支援をいただいている団体さまの活動レポートです。

実施場所:北海道岩見沢市、美唄市、札幌市手稲区

猫の保護活動をはじめてもう何年になるでしょうか。はじめは家の近所の地域猫の保護活動からスタートしたのですが、任意の市民団体になり、NPO法人化しながら仲間が増え活動内容も多岐に渡る中で、「多頭飼育崩壊」や「孤独死」などの人の問題に巻き込まれた猫たちを保護する機会も多くなりました。
2022年春には、立て続けに3件の多頭飼育崩壊案件の相談がありました。
北海道岩見沢市では75匹(6月25日現在)の猫達が残されていました。離農した数件の農家の方が納屋にいる猫をおいていき、猫たちは近隣の農家にご飯をもらいに来るようになりました。このまま増えてしまうと収集がつかなくなる、と、ご飯を上げていた農家のお一人が、自力で避妊去勢手術を始めましたが、手術でお世話になっていた動物病院が、当会のメンバーに連絡をくださいました。
猫のいる場所の環境改善も含めてすぐに当会の案件として保護を引継ぎ、25匹を札幌の一時待機室へ移動しました。

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相談者の元から計画的に猫を移動し、譲渡可能な状態になるまでメディカルケアと馴化を行い、譲渡可能な子から当会の譲渡会に参加させたり、HPで里親様を募ったりしながら、一匹、また一匹と本当のお家へとリレーをする、私たちの活動目的である「命のリレー」を開始しました。
治療が必要な猫も多く、岩見沢市まで協力病院の獣医師の先生に来てもらい、猫風邪の治療やメディカルチェックを定期的に行っています。

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また、空知総合振興局に報告をさせていただき、飼い主探しノート制度を活用して、現場から直接里親へと繋ぐことも同時進行で行いました。飼育環境改善の手伝いをしながら、譲渡を行い、あと5匹の譲渡を待つだけ、間もなく活動も終わりが見えたと思っていた矢先の6月。次の多頭飼育崩壊の相談が舞い込みました。こちらは岩見沢市の相談者と違って、飼育しきれなくなりそのまま放置をし、そして一人でお亡くなりになってしまった現場でした。
当会事務局、そして待機施設とラウンジ(シェルター)がある札幌では、受け入れメンバーが保護された猫を受け取り、待機施設に入る子と預かり宅へ移動する子と事前に調整された通りに分担をし、通院(メディカルチェック)、そして基礎ケアを行います。
新しく保護してきた猫は、先に保護された猫たちへの感染予防のため、隔離環境を用意します。当会では専用の隔離室・待機施設があり、現場単位で部屋を使用することで完全な隔離環境を実現することができています。メンバー宅(個人宅)では、同様に使用していない部屋や風呂場を活用し、飼っている猫、先に預かっている保護猫と完全に隔離した状態でお世話をします。
長らく外に近い環境にいた猫たちです。駆虫や猫風邪の治療は、一進一退の状態が続き、完全に大丈夫、と言えるまで時間がかかります。また皮膚炎などを持つ子もいました。健康な子は2週間の待機中に医療行為(不妊去勢、駆虫、便検査、抗体検査、血液検査、ワクチンの接種、マイクロチップの挿入、血液検査)を行い、譲渡可能な猫から譲渡会に参加させて里親様へと繋ぎます。
行政と私達保護団体が連携してレスキューに入りますが、その最初はとても悲惨な光景を目にします。私達人間も、法の下で与えられた自由という権利がありますが、人社会の中で暮らす動物も同じ自由の権利があるのを、みなさんはご存じですか?

・飢えや渇きからの自由
・不快からの自由
・痛み、外傷や病気からの自由
・本来の行動する自由
・恐怖や苦痛からの自由

この自由が奪われ、命の危険にさらされ、誰にも助けてもらえない絶望の中で、ただただそこにいるしかない猫たち。
皆さんが猫の通院などで移動するときに使うキャリーや小さなケージに猫を入れたまま飼っており、その周り、上部に生活ごみが積み重なった状態で見つかりました。
『いま歩いてきたところにもいるのかも!』現地に入ったメンバー全員で必死に生活ごみを外にだし、その下に猫がいないか丁寧に探します。いくつもいくつも見つかるキャリーと小さなケージ。その中で出産した母子猫もいました。

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状況からみて、2週間近くご飯も水も与えられていないと分かる猫たちです。事務局スタッフに指示を出し、隔離施設をこの現場用に空ける作業も並行して行いました。

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そしてもう一件、札幌市で病で倒れて入院した母親宅に息子さんが行ったところ、たくさんの生活ごみと15匹の取り残された猫を発見しました。その後判明したのは、昨年12月に妊婦を保護した母親が避妊去勢手術を怠ったために増えてしまったケースです。
預かりボランティアさんたちの助けもあって、2件の多頭飼育崩壊現場から計50匹をレスキューしました。
6月25日現在、この50匹のメディカルケアが続いています。心身ともに虐げられていたことで全く食べることができない猫、発作を起こすため目の離せない猫、みんなギリギリの状態です。あっというまに底をついたフード・猫砂・タオル・医療費。私たちの呼びかけに、多くの里親様、支援者の方が呼応してくださいました。
いつも支援のお礼状を出しているのですが、そのお礼作業の時間すら取れないなか、仕事の合間を縫って駆けつけてくれるメンバーたちもいて、全員が「猫を救いたい」という想いでここにいるのだ、と思うと、この会を守り、猫が安心して暮らせる社会へと向かっていかなくては、と改めて思います。

<ご支援くださっているみなさまへ>
私達は、人と動物が共生する社会の実現に向けて、もっとも身近な動物である犬猫の殺処分を減らしていくため、様々な事情により自治体や動物保護団体に引き取られた犬猫の譲渡を推進する取組を進めてきました。しかし、動物だけの問題と考えず、社会全体を見通す必要があります。
当会では日本の動物福祉の現状をより多くの皆様に知っていただくために動物愛護講演活動を行っています。また適正飼養・終生飼養という飼い主責任の啓発活動、そして子供を対象にした命の授業を行っています。
今回のような緊急を要する事案にも行政と共に積極的に対応しています。今動かなければ消えてしまう命があるからです。動物たちは、家族同然の大切な存在です。人も動物も命に優劣はありません。
長年の動物愛護活動を通じて感じていることは、『小さな尊い命が軽んじられる社会に、人の本当の幸せはない』ということです。悲しい出来事が起きないように、保健所や管理センター以外にも、福祉課、環境生活課、住民課などとの連携が今後必要とも感じています。適正飼育環境のことや、もしもの時どのように対処すべきか、動物を飼う前に、動物を飼ってからも、特別なことと難しく考えず、日常的にいつでも気にかけていられたら、と思うのです。
多頭飼育崩壊を起こしてしまった方はけして意地悪をしてそうなったのではありません。むしろ猫が好きで、外でお腹を空かせていた猫がかわいそうだと家に入れてしまった人が多いのです。
当会の運営では、保護は譲渡と対でなければならないと考え行動しています。保護猫達の本当の幸せは、保護団体の飼養施設やシャルターに入る事ではありませんし、私たちの活動成果はその保護数のみではありません。 当会での昨年の譲渡会回数は100日を超えています。昨年度は相談案件118件、着手終了した案件59件 進行中31件 保留28件です。保護頭数は613匹、譲渡頭数は476匹です。
飼い主は、終生飼養の責任があります。社会の中には動物が苦手な人もいますので、ルールやマナーを守り、地域に迷惑をかけないようにする必要があります。動物が嫌われる理由のほとんどは、飼い主のマナーの悪さが原因です。動物と人が共に幸せに暮らすために、飼い主の責任について考えてほしいと切に願っています。

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「NPO法人ニャン友ねっとわーく北海道」
http://nyantomo.jp/
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