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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

ネコノミストの研究室

2017年07月26日

世界の猫助けNPO:イギリス編

猫部のみにゃさま、こんにちは。ネコノミストの武井です

今回は、猫のみを支援する海外のNPOを調べてみました。まずは、動物愛護ににゃがーい(長い)歴史を持つイギリスからです。
イギリスの4大動物愛護団体のひとつであり、猫の支援を専門に行っているCats Protection(キャッツ・プロテクション)についてご紹介致します。

Cats Protection (本部:イギリス・サセックス)
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■組織設立の背景
1920年代の英国では、猫は犬とは異なり、人間のコンパニオンアニマル(またはペット)として正当な扱いを受けておらず、状況を改善したいと、有識者達が1927年にCats Protection(設立当初の名称はthe Cats Protection League)を立ち上げました。

Cats Protectionは、猫の不妊・去勢手術の啓蒙活動におけるパイオニアと言われています。1960年代から、野良猫の数を減らす唯一の効率的な手段が不妊・去勢手術であるとの考えから、野良猫の保護と不妊・去勢手術活動を実施してきた団体です。

しかし、当時は猫に不妊・去勢手術を行うことは珍しく、愛猫家はもちろんのこと、市民にもその活動を理解してもらうまでに時間を要したといいます。それでも、Cats Protectionは、1960年代には不妊・去勢手術のコストをCats Protectionが負担するバウチャーを市民に配布し、不妊・去勢手術が無料または低価格で実施できる仕組みを導入し、これまでに250万匹以上を不妊・去勢手術した実績を持っています。

■現在の活動
本部はNational Cats Centre(ナショナル・キャッツ・センター)として、ロンドンから鉄道で1時間ほどに位置するサセックスに設置し、里親センター(the National Cat Adoption Centre:NCAC(ナショナル・キャット・アドプション・センター))も併設されています。アッシュダウンの森の中に51エーカーの広大な敷地を設け、センターが運営されています。

このNational Cats Centreを中心に、現在は、イギリス全土に250の支所と32の里親センター(Cat Adoption Centre)で活動が実施されています。現在同組織は、世界で唯一の猫のみの支援(不妊・去勢手術を含む)を行う最大の組織となっています。

活動は、職員と多数のボランティアで運営されており、「世界中の猫がよりよく輝かしい未来をすごせるように」と言う共通の思いで活動を行っています。
主な活動は、
① 猫の不妊・去勢手術活動とそれに付随する啓蒙活動
② 猫の里親探し(rehome)活動
③ 猫に関する教育・啓蒙活動
④ 飼い主の死後の猫の引き取り(Cat Guardianship)
の4点となっています。
上記の活動を行うために、寄付金集め(ファンドレイジング)や、フォスター・キャット活動(特定の猫に寄付を行い「育てる(foster)」支援)も行っています。

イギリスは、日本とは大きく異なり、社会貢献活動に対する寄付活動が活発で、Cats Protectionの2015年の収益は78億円!(約5,600万ポンド)、そのほとんどが寄付金と遺贈金でまかなわれているそうです。

ウェブサイトによれば、Cats Protectionは創立以来、150万匹の子猫・成猫の里親を見つけ、250万匹以上を不妊・去勢手術し、300万匹以上を助け、猫の権利向上活動を行い、全ての世代に正しい猫に対する理解とそのニーズを把握する支援活動を行ってきたといいます。毎年、20万匹の猫を支援してきているとのことです。

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Cats Protectionの北ロンドン里親センター


■豊富な「猫教材!!」
今回猫部のみにゃさまに是非見て欲しいものとして、Cats Protectionのウェブサイトに掲載されている、幅広い層への様々な形での猫愛護に関する教材があります。
Cats Protectionでは、幅広い年代のグループに様々なトピックの教育の場を提供していいます。
幼児用
小学生用
中学生用
子供を対象にしたゲーム感覚で猫について学べるCats for Kids
高校生以上と大人向けのEラーニング
上級編のEラーニング

その他、各支所や里親センターで紙媒体で配布しているパンフレットやリーフレット、猫の飼い方ガイドなどのガイダンスの冊子も全てPDFでダウンロードが可能となっています。
基礎編
医療編
不妊・去勢手術編(東欧の10言語に翻訳された版もあり
猫に関する用語集

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各里親センターで無料で配布している猫に関する冊子
(TNR、高齢者猫のケア、室内飼いについて等)

残念ながら、上記の教材は一部の冊子以外は全て英語のみとなっていますが、こういったシステム化された情報提供・啓蒙活動から、私達は学ぶことが多いと感じました。草の根(ミクロ)の猫支援もとても重要ですが、社会全体(マクロ)での猫支援活動は、長期的な視点から非常に重要だと感じています。

次回はアメリカの猫専門支援NPOであるAlley Cats Alliesのご紹介です。お楽しみに!


ネコノミストの研究室ブログライター紹介

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北 洋祐

京都大学経済学部卒業。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの研究員として、中小企業政策、スタートアップ企業政策の研究に従事。一匹の野良猫を保護して飼い始めたことをきっかけに猫派となり、それ以来ライフワークとして動物愛護分野の研究にも勤しむ。2016年からは、人と猫の望ましい関係について考え発信する「ネコノミスト」として活動。現在は元野良猫のシンスケと保護団体から譲り受けたゴマの2匹とともに暮らす。好きな猫マンガは伊藤潤二『よん&むー』

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武井 泉

市立高崎経済大、東京大学大学院卒業。独立行政法人の研究所等を経て2007年より三菱UFJリサーチ&コンサルティングに入社。アジア・アフリカの国際協力事業(農村開発、社会保障等)や、ハラール市場についての業績多数。2015年より、ネコの幸せと人との共生を考える「ネコノミスト」としても活動を開始。現在、5歳の2匹の元保護猫と暮らす。これまで一緒に暮らした猫は40匹以上にのぼる。趣味は、園芸と、海外出張の合間のネコ撮影、ネコグッズの収集。

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