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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

岩津さんに聞く!

2016年11月11日

アニマルコミュニケーター岩津さんに聞いてみよう ~帰ってきた猫さんは...?

みにゃさま、こんにちは。
今回は、アニマルコミュニケーションにご応募くださったTさんのお宅へご訪問してきました。

いただいたご相談は以下です。

先日、自由猫(ほぼ室内猫、1才の避妊済メス)が居なくなり、情報収集をしたところ、1週間後に3キロもはなれた所で見つけることができました。
体重は半分に減り痩せこけ、全身脱毛で皮膚もたるみ柄もわからなくなり、自分の猫かも分からないくらいに...。

翌日より5日間入院し、2週間後また入院。高すぎる肝機能の数値に口内炎で今も通院治療中です。
この子は何が幸せで、どうしてほしいのでしょうか?

「このこはほんとにお宅の子? 3才位の肝臓してるのよね~」とお医者さんに言われ、見た目も柄も変わり、声も出せないこの子に「あなた、すもも? ほんとに、すもも? あなた、すももじゃないよね?」と何度も聞いてしまいました。せっかく我が家に帰ってこれたのに、すももはすごく悲しかったと思います。

顔は少しずつ丸みをおび、すももだと思います。
家の中を歩く姿も、すももそのものです。

でもお腹の毛は以前とは似ても似つかない色をしていて、正直まだ少し疑っている自分もいたりします。口内炎の影響か、声も変わってしまっています。
こんな気持ちだから、溝ができてしまったのでしょうか?

お部屋に入り椅子に座ると、すももちゃんが目の前にやって来て、ごろんと横になったりすり寄ったりと歓迎してくれます。
「初めましてこんにちは!」と挨拶をすると、目を細めてさらにすり寄ってきてくれました。

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この姿を見たTさんは、「いなくなる前のすももはこんなことなかったんです。チャイムが鳴るだけで隠れてしまうような子でした。」とおっしゃいます。

声、柄や体の色の一部、目の色も違い、好きだった缶詰には見向きもしないそう。
いなくなる前のすももちゃんの写真を見せてもらうと、一部の柄や目の色は確かに違いますが、同じキジトラではあります。

写真とすももちゃんを代わる代わる見比べていると、すももちゃんはすーっと離れた場所に行ってしまいました。

保護した当日のこと。
すももちゃんが小学校の校庭にいるという情報が入り現地に向かったTさん。
確かにすももちゃんのような猫がそこにいたので、「すもも!」と叫ぶとすももちゃんはTさんの元へ駆け寄り、足元まで来るとパタンと倒れたそうです。

1週間で変わり果てた姿に驚きましたが、彼女の通院や治療で、疑問に思うひまもないほど慌ただしい日々でした。少しずつ体調が落ち着いてくるに従い、Tさんは以前のすももちゃんとの違いが目につくようになり、本当にすももちゃんなのかと疑問は膨らむ一方。
「信じたい、でも...」という心境を今日のこの日まで繰り返してこられました。

一通りの経緯とTさんの思いを伺い、すももちゃんとお話しましょうと彼女のそばへ行きましたが、甘えてきてはくれるもののどうしても目が合いません。のぞき込んでも逸らされます。

私が近づく度に心拍数がぐんと上がり、「どうかこのまま何事もなく終わりますように」という祈るような気持ちも伝わってきます。

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すももちゃんが別のお部屋に移ったので追いかけ、彼女と私の二人きりになりました。
彼女は体に力を入れ、目をぎゅっと閉じています。

「あなた、すももちゃんじゃないわよね?」と切り出すと、彼女はため息のような大きな息をひとつしました。
そしてさらに目をぎゅっと閉じ、またひとつ大きな息をします。

私が来てからの彼女の時間は、息を止めているような緊張状態だったのでしょう。
息をして緩んだ彼女から、辛かったであろうこの3ヵ月の思いが伝わってくるので、かける言葉が見つかりません。

「すももちゃんじゃなくてもいいじゃない。あなたはあなたでいいじゃない。」と今日からは彼女そのものであって楽になってほしいという思いを込めて伝えました。

すももちゃんになりたかった彼女に、あれこれ聞くことも伝えることもこれ以上は必要ありません。

もしかするとこの言葉でさえ、3ヵ月間必死の思いですももちゃんになりきってきた彼女には無責任なものなのかもしれません。
しばらくの沈黙の後、「すももちゃんである時間は終わった」という気持ちが伝わってきました。

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目を閉じたままの彼女と別れ、別の部屋で待機するTさんに以上のことをお伝えしました。

「やっぱり...。私だけがあの子はすももじゃないと疑ってたんです。私だけが疑っているのをすももはわかってて、私に好かれよう、すももになろうとしていました。今のすももは言うことないくらいできた子で、こんなにいい子だったら世の中の人みんな猫飼うよねって主人と話してたんです。」と涙ながらにTさんはおっしゃいます。

すももちゃんの外での生活は過酷なものでした。保護した後に病院に行くと、内臓に土が溜まっていたそうです。

もう限界だと思っていた日々。
あの日、視覚も意識ももうろうとした状態の中で、遠くから自分に向かって声をかけてくれる人がやってきました。
まるで救いの天使が舞い降りたかのように、光に包まれた人が現れたのです。
「やっと会えた...」彼女は最後の力を振り絞り、その天使の元へ駆け寄り力尽きました。

元のすももちゃんと間違われているのはすぐに気づきましたが、Tさん一家との安全で穏やかな生活。外での過酷な生活と比べるとまるで天国のようです。
「ここにいたい、ずっとここで暮らしたい」という思いで彼女はすももちゃんになろうと決めました。

そして唯一疑われているTさんに好かれ、認めてもらい受け入れてもらおうと必死の毎日でした。
疑われているのはわかってはいますが、好かれればここにいさせてもらえるはずだと信じて3ヵ月がんばってきました。

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3ヵ月目の今日、私がやってきたことですももちゃん本人ではないと判ってはしまいましたが、あの大きなため息を聞き、ようやく彼女は息ができたのだと確信しました。
大きく息をして、今日からすももちゃんという名前をもらった家族の一員として再スタートして生きてほしいです。

いなくなった元のすももちゃんとも、写真を通してコンタクトを取ってみました。
元のすももちゃんは、ぼんやりとした現実なのか天国なのかどちらとも取れないような風景の中で佇んでいました。
「ぜんぶ知ってたよ。私は大丈夫だからね。」と言います。新たなすももちゃんのこと、今日のこと、すべてを知っており応援しているように感じました。

Tさん、すももちゃん、ありがとうございました。



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写真

アニマルコミュニケーター岩津さんに聞く!

岩津 麻佳

2014年、ひょんなきっかけからアニマルコミュニケーターとしての活動を開始。落ち着いた語り口と外見からは裏腹に、動物たちのエピソードを時にユーモア交えて語ってくれます。

HP

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みにゃさまのコメント

こんな出会いもあるんですね。Tさんに声をかけてもらわなかったらこの子は今頃・・・。きっとこの子ももとは飼われていて幸せに暮らしていたのかも、つらい生活の中でがんばってきたんだね。
元のすももちゃんから託された命だったのでしょうか。Tさんもこれからはいいこすぎるくらいのすももちゃんと新たな家族として幸せに暮らして下さい。
元のすももちゃんはど・・・もう現実世界にはいないのかな~~と気にはなりますが・・・

by あずにゃん 2016-11-11 10:30

読みながら胸がいっぱいになりました。
岩津さんがくるまでの3ヶ月間の
すももちゃんの気持ちを思うと切なくて…
これからは安心して暮らせるね。
よかった。
猫も人間と同じように、感じたり考えたりするんですね。
うちのにゃんこも今以上に
大切にしてあげようと思いました。

by mamenin 2016-11-11 14:57

飼い主さんとすももちゃんの気持ちを思うと涙が止まりませんでした。飼い主さんと元のすももちゃんとの絆もあるし、すももちゃんのすがるような思いも痛いくらい伝わってきました。これからのご家族に幸せがいっぱい訪れますように。

by クララ 2016-11-11 18:00

すももちゃんになろうとしていたなんて。
切ないし、いじらしくって。。。これからは、すももちゃんじゃないけれど、安心して暮らせるといいですね。飼い主様とお幸せにね!

by さっちゃんママ 2016-11-11 18:44

深夜の街灯少ない小学校で 聞こえた かぼそい声 ようやく手差しのべられたのに まさか違う子だとは想像もしませんでした 疑いながら暮らしてきた3ヶ月のモヤモヤは 消えましたが 複雑な心境です。すももが帰ってくるかも?帰ってきて 違う子を迎え入れてる家族に 失望しないだろうか?そんなことを考える毎日です
この度は ありがとうございました(。>д<)

by すもも 2016-11-11 20:35

読みながら、涙が溢れてしまって仕方ありませんでした。
外で暮らしてた猫ちゃんが、過酷な中でようやく見つけた幸せ、
新しいご家族の元で充分味わえること、本当に良かったなと思います。

by クランベリー 2016-11-11 23:05

全て分かっている…元のすももちゃんはもしかしたら家にもう帰れないと自覚していて、代わりに家族のところへ今のすももちゃんを寄越したのではないかと思ってしまいました

でなければ岩津さんが感じていた応援する気持ちは無かったのではないのかと

これからはすももちゃんの‘代わり’ではなく、2代目すももちゃんを心行くまで可愛がってあげればいいんですよ

素敵なお話しを聞けてこちらも嬉しかったです

by ゆみにゃん 2016-11-12 11:29

飼い主のTさん、すももちゃん、二代目すももちゃん、みんなの気持ちを思うとホントに涙が出ます。
Tさんの複雑な気持ちもとてもわかりますし、
Tさんに好かれたくてすももちゃんになりたかった二代目ちゃん、どれだけ辛い生活をしてきたかと思うと心が痛みます。
すべてをわかっているというすももちゃん、Tさんに心配かけたくなく、安心させたくての言葉なのでしょうね。
それぞれのすももちゃんとTさんの絆はとても良いものだと思いました。
みんなが幸せになれることを祈っています。

by 2にゃんこは宝物 2016-11-12 14:05

外で暮らす猫さんは、本当に人間には想像もつかないほど過酷な生活なんですね。二代目すももちゃん、やっと幸せを掴んだね。きっと元のすももちゃんもわかってくれていると思います私にも我が子のように愛していた子が、突然居なくなってしまった経験があります。もう何年もたつけど、今でも会いたいです。飼い主さんには、元のすももちゃん同様にこの子を可愛がってあげて欲しいです。

by ふみちゃん 2016-11-12 21:23

何とも心揺さぶられるエピソードでした。
二代目スモモちゃん、きっと飼い主さんに会えたときはやっと会えた救いの手のように思えたのかもしれませんね。
きっと何かしらの縁があって、飼い主さんの元へ来ることになったのでしょう。
これだけ素敵な飼い主さんなんですもの。最初のスモモちゃんもまた飼い主さんの元へ戻れればいいのですが。
じーんとくるエピソードありがとうございました。
岩津さんと飼い主さんと二匹の猫ちゃんの幸せを祈っております。

by さとひめ 2016-11-13 05:39

皆さまコメントありがとうございます。
こんなこともあるのだと驚き、胸にずんとくるご依頼でした。
元のすももちゃんの「わたしは大丈夫」というその言葉に偽りはなく、彼女の凛とした強さと清らかさを感じました。彼女の命の言葉を受け取り、今のすももちゃんとTさんに新たな家族としてのしあわせを願います。

by 岩津 2016-11-14 09:34

連載、いつも楽しみに拝見しております。
我が家も去年、道にうずくまっていた生後約1ヶ月の猫を姉が発見し。今では家族のひとりとして暮らしています。
元々動物好きの家でしたが、なにぶん猫さんは初めてで。試行錯誤しながらすくすく1才になってくれました。コミュニケーションもだんだんとれるようにはなってきましたが、まだまだ岩津さんには及ばずです。
うちで過ごせてちゃんと幸せかなあ。日中は家族が仕事に行ってしまうから寂しくないかなあ。夜は私の部屋で一緒に寝ているのですが、

by 名無し 2016-11-21 20:32


途中になってしまい申し訳ないです。

何かと色んな心配が絶えません。
でも、なんとか彼女の声を聞けるよう。精進しようと思います。
いつも素敵なお話をありがとうございます。

by 名無し 2016-11-21 20:36

いつも素敵な内容で楽しみにしています。
現すももちゃんの『すももちゃんになりたい』という気持ちに胸がギュッとなりました。
でも何故だか私は元すももちゃんを探すことも続けて欲しいなと思います。
遠くに行ってしまっていたとしてもその足跡一つくらい連れて帰らせてあげたいです。

by ちゃとらん 2016-11-22 00:04