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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

岩津さんに聞く!

2016年04月01日

アニマルコミュニケーター岩津さんに聞いてみよう ~食べ続ける猫さん

みにゃさま、こんにちは。

今回は、募集しているアニマルコミュニケーションにご応募くださったDさんのお宅に訪問してきました。

Dさんがお送りくださったお悩みはこちらです。

ご相談したいのは、スフィンクスの「かつお」くん(3歳・男の子)のことです。かつおは、元飼い主による、飼育放棄・多頭飼育崩壊によりシェルターに引き取られ、1歳半のころ、シェルターから我が家に迎えました。

なついて元気に暮らしているのですが、問題行動として、異常なまでの食への執着心があります。生ゴミを漁るのは日常茶飯事、引き出しを開けてありとあらゆる食料を食べてしまいます。おそらく幼少のころに、十分な水や食料を与えられていなかったことが影響しているのだと思います。

かつおの本音を聞いてみて、可能であれば「一生食事には困らせないよ」ということを理解してやめてもらいたいと思っています。


「これが最後かもしれないね・・・」とケージに入れられた食事を前に2匹は目を合わせうなずいた。

生後5ヵ月からスフィンクスの兄妹2匹はこの閉ざされた空間で過ごしている。
日光も照明もなく真っ暗な部屋。窓は閉めっぱなしなので、風も通らない。かろうじて食事と水を与えられているのはこのスフィンクスの兄妹のみ。ほかの40数匹は自身の排泄物で生き延びている。

永遠に続くかと思われたこの状況だったが2匹が1歳になったころ、保護団体により全員がレスキューされた。

スフィンクスをいつか迎えたいと思っていたDさんにスフィンクスがレスキューされたという情報が知人から届き、早速シェルターまで見学に行きました。Dさんを見ると、兄のスフィンクスは手を伸ばしてアピールしたのです。そしてこの後Dさんは無事に保護団体の面接に合格し、めでたく家族として迎え入れることになりました。

これが2年前のこと。命名、かつお君。(妹も里親さんに引き取られたそうです)

Dさんにとっては待ちに待ったあこがれのスフィンクスとの生活。
ところが、お悩みのように異常なまでの食への執着心で、美しく優雅なスフィンクスとの理想の生活とはかけ離れた日々でした。

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目につく所には一切の食べ物は置かないようにしているものの、あちこち探し回り、ゴミ箱を漁ったり、引き出しを開け、食べ物を見つけるとすべて食べ尽くす。調理後の生ごみや洗い物もシンクには片時も置いておけない状態です。

獣医さんにも相談され、スフィンクスは運動量が多く毛が無いので体温を維持するために食事量は多く必要と言われたので、それまでの倍の量にしましたが、かつおくんの食への執着心は変わりませんでした。

さて、ご対面すると、とても人なつこいかつお君です。
ご挨拶すると興味津々といった様子で目をキラキラさせて私をじっと見つめます。私がソファに座ると膝の上にひとっとびで乗ってきます。なんという身軽さでしょう。

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動きのせいか人なつこさのせいか、見ているとまるでポインター犬のようで「猫」ということを忘れるほどです。アーモンド形の大きく美しい目にも吸い込まれてしまいうっとり。私はかつお君にすっかり魅了され会話が始められません。
天真爛漫で甘えん坊。のびのび過ごすかつお君を目で追うDさんを見ていると、Dさんもかつお君に魅了された1人であり、そして心から愛しておられるのが伝わってきます。

気を取り直してかつお君に食べ物のことを聞こうとすると、途端に聞こえないふりをします。膝から降りてふらふら歩きだしたり、心の中で鼻歌を歌ったりと分かりやすく(笑)聞こえないふりをしています。

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「どうせまたガミガミ言うんでしょ。もう聞き飽きたんだよね。あ~うんざり。」とため息交じりの心の声が聞こえてきました。かつお君には見事に逃げられてしまい会話ができないので、心の中を見てみるとやはり2年前のあの時の飢餓感が今に影響しているようです。

かつお君は持って生まれた天真爛漫な性格とDさんの愛情により人が怖いというトラウマは残っていませんが、飢餓感だけが残ってしまっているようです。

Dさんが普段かつお君を叱る様子を見てみると、「もう、仕方ないなあ」という気持ちが入っています。かわいいわが子なので本気で叱りきれない気持ちは私もよくわかります。

余談ですがうちのインコを本気で叱った時にインコが目に涙をためたので一瞬気が緩んでしまいましたが、これで情を出したら今叱っていることが台無しになってしまうと心を鬼にして叱りました。辛かったです...

私からDさんにはこうお伝えしました。
どんなに心配しているかを真剣に伝えてください。心配するのは愛しているから、かけがえのない大切な家族だからということも忘れずに伝えてください。時間はかかるかもしれませんが根底に愛があれば必ず伝わります。分かっているけどできないということは私たち人間だけでなく飼っている動物たちにもあることです。思いは伝わっていますので温かく気長に見守って下さいね。

普段叱ることのないご主人から、二人ともどんなにかつお君のことを心配しているかを伝えるのもいいと思います。

さて、今回取材中こんなこともありました。
Dさんのおうちにはほかに3匹のエキゾチックショートヘアの猫さんがいます。その中の1匹、こぼれ落ちそうなほどの大きなおめめのがんもちゃんがようやく出てきてくれたので、取材に同行したフェリシモスタッフさんがここぞとばかりにパシャパシャ写真を撮るだけ撮って去ると、「何なの、あの人!」とムッとした表情で私に言いました。

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「何なの、あの人」

それをスタッフさんに伝えるとあわてて引き返し、「失礼しました。わたくしは~」と改めて自己紹介をして、謝られたのでした(笑) 私たちもいきなり写真を撮られたら決していい気はしませんよね。声に出してのあいさつはすべての生き物に対しての基本ですよ^_^

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Dさんから後日談をいただきました。

岩津さんからアドバイスいただいた「無駄食いをするときに怒るのは、心配だから怒っているんだよ」ということなど、すぐに実践しました。

聞いているのか聞いていないのか、よく分からないのには変わりないのですが、かつおが少しご飯を残すようになったんです。
今までは、最後の1粒まで絶対に残さず食べていたのに、10粒ほど残します。
岩津さんのアドバイスが効いたのか、にわかには信じがたいのですが、タイミング的には合っているので、まずは普段のご飯については過剰な執着が少し減ったのかな?と感じています。

食事タイム以外で、食べ物を漁るという行為はまだまだ残るものの、何となくですが、すぐに口に入れるではなく、いったん食べ物を落として私にアピールするようになった気がします(笑)

バンッ!(何かを落とす) 私ににらまれて、「ダメ? あ、やっぱりダメ? ですよね~」という顔をしています。まだまだ道のりは遠いですが、根気よく取り組みます。

Dさん、これからも一家でおしあわせに! ありがとうございました。



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アニマルコミュニケーター岩津さんに聞く!

岩津 麻佳

2014年、ひょんなきっかけからアニマルコミュニケーターとしての活動を開始。落ち着いた語り口と外見からは裏腹に、動物たちのエピソードを時にユーモア交えて語ってくれます。

HP

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みにゃさまのコメント

毎回考えさせられる記事で、のめり込む様に読んでいます。
以前里親会で出会った猫さんとトライアル入ってたのですが、野良猫気質が激しく、ゲージから慣らしていきましょう、と保護主さんの提案もあり、頑張ってたのですが、気持ちはすれ違ったまま改善できず、保護主さんが訪問されて、判断もあり、怖い思いをしてるままの猫さんが不憫になってきて、トライアル延長して頑張ってましたが、猫さんは保護主さん宅へ帰って行きました。
・・私にも心で会話できるチカラあれば良かったなぁ・・って思います。
 私は2度早くに保護猫を重病で亡くしています。
今度こそ、お互いがおばあちゃんになるまで一緒に居たい。そう思って引き取るのに・・2度も早く逝ってしまった過去が、力み過ぎたのか、と反省しています。
・・今度は、ゆったりのんびり猫さんと対面して生きていきたい・・と思いました。

by zero19641213 2016-04-01 16:22

>zero19641213様
短い命で生まれてきたからこそ、うんと大切にしてもらえるzero19641213さんの元へやってきたのかもしれませんね。

by 岩津 2016-04-01 18:21

この間から、新しく保護猫さんがうちに来ました。面接した時から抱っこ出来たので、大丈夫かも!と思ってたんですが、保護主様から良いお返事を頂き、うちに来ました。2日ほどですっかり慣れてくれて
久しぶりに猫との生活に浸ってます。
 ただ、トラウマってるのか、外出してる間に死んでたらどうしよう・・と根拠無いのに恐怖感が常に付きまとってしまっています。

by zero19641213 2016-05-26 12:03