ページ内を移動するためのリンクです。
ここからメインコンテンツです

[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2016年02月23日

窓猫が迎える農家カフェ

michibata20160223_1.jpg

わあ!、猫が窓に鈴なり。
1,2,3,4・・・・10匹まで数えることができました。奥にもまだいるようです。

michibata20160223_2.jpg

窓に近寄って見ると、猫たちはこっちに興味津々。配列を変えて一斉に「いらっしゃいませ」をしてくれています。

michibata20160223_3.jpg

ここは、南房総・館山市の森のなか。民家をリフォームした農家カフェ「BNNNI CAFE(バニカフェ)」です。
ネットなどの発信もしていないし、入ってくる道に看板も出してはいないのに、口コミでおいしさが評判になり、連日、地元のお客さんでにぎわっています。

michibata20160223_4.jpg

店内はアンティークもので溢れかえっていますが、主が選び抜いた好きなものばかりなので、色彩が溢れていても統一感があり、とっても居心地がよいのです。
窓からは、房総の緑と光。
13匹もいる猫たちは、カフェと廊下続きの自宅で飼われているので、店には入ってきませんが、窓の網戸越しに外を眺めるのが大好きなので、いつも、お客さんのお迎えとお見送りサービスもせっせとしているというわけです。

michibata20160223_5.jpg

カフェを切り盛りするのは、太田さんご夫妻。結婚後、東京から移住してきました。
館山市の地域おこし協力隊を昨年春卒業したユタカさんと、館山市の観光協会で働いていたアヤさんが、「地元のおいしい野菜をたっぷり使った、体に良い料理を提供したい」と始めたカフェです。

michibata20160223_6.jpg

1000円のランチを頼みましたが、タコにサーモン、鶏むね肉、ローストポーク、フキノトウなどの地元野菜がたっぷりの前菜のボリュームにまずびっくり。
海老とレモンのパスタを選び、これに、、パンとデザートケーキと珈琲がつきます。

ランチ客が途切れたので、猫たちの居住空間へ案内していただきました。
猫窓の内側は、こんなふうになっています。

michibata20160223_7.jpg

元々チワワのミルクちゃんを飼っていたのですが、ミルクちゃんに友達をと、地元の友人が連れてきた保護猫「ルー」を引き取ったのを皮切りに、次々とその友人が海辺で「落ちていた」子猫を保護しては連れてきて、いつのまにか犬1匹猫13匹もの大所帯となっていました。
「目の前に連れてこられちゃうと、かわいそうでねえ、もらうよ、と」。そう言うユタカさんは、犬も猫も実は嫌いだったとか。動物好きのアヤさんにせがまれて犬を飼い、猫をもらってみると、「犬も猫も、一緒に暮らしてみると、なんて頭がよくてかわいいもんだ」と気づいたのでした。「13匹いてもね、一匹だって、もうよそにはやれません」。

michibata20160223_8.jpg

自宅で、思い思いにくつろぐ猫たち。13匹の猫に囲まれて、チワワのミルクちゃんは、猫に同化してしまったそうです。

michibata20160223_9.jpg

13匹もいるとたいへんでしょう? そう尋ねると、アヤさんは、にっこり笑って、言うのです。
「大変なのは、餌代と、平等に可愛がらなければならないこと。もうこれ以上は増やせませんが、いろんな個性の子がいる大家族はとっても楽しいですよ!」

地元のおいしい野菜を喜んで食べてもらう、という夢を叶えたユタカさんの次の夢は、「障がいをもつ子どもたちに畑で野菜を作ってもらい、それをお店で提供したい」ということ。
協力隊時代に、地元の福祉作業施 設でお世話になったので、いい形で協働できたら、と思っているそうです。

michibata20160223_10.jpg

お見送りは、チワワのミルク、キジトラのボス猫ルー、ビビりの白猫バニラ、ひょうきんものの黒猫ラニが、「またのおいでをお待ちしてます」とばかり、きちんとお見送りしてくれました。猫好きばかりか、猫嫌いのお客さんまで、思わず笑顔にしてしまう名物「猫窓」です。
BANNI CAFEの名の由来は、猫たちの中で唯一白猫の「バニラ」から。移住組の自分たちもここでは異色の存在かも知れないけれど、周囲に埋もれることなく、個性を発揮していきたいという思いが込められています。
南房総の森のなか。大好きな父さん母さんの夢を、14匹の家族も、そっと 見守り、応援しています。

「松山庭園美術館」での「房総~猫に戻れる場所」写真展にあわせ、3月13日までの展示期間中は、房総で暮らす猫たちをご紹介していきます。


写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

Instagram

カテゴリ: 道ばた猫日記
  • ツイート
  • いいね!

みにゃさまのコメント

いいですね‼美味しいお料理と可愛い猫さん達一度でもいいから猫まみれになってみたいです私は千葉県に住んでいますが、同じ千葉県でも北の端で房総は近くて遠い所のような所で、、いつかきっと行ってみたいです。

by ふみちゃん 2016-02-23 20:48

本当に鈴なり! こんなに一斉に見つめられたら緊張してしまいます~!
(嬉しいけど、かなり嬉しいけど!)

房総には素敵なお店や場所がたくさんですね。
ここにも猫に優しいご夫婦が。
でもやっぱり誰かにだけ負担をかけるのは心苦しいですね。

チワワのミルクちゃんの猫たちとの馴染みっぷりに和みました。

by さりゅ 2016-02-23 21:02

>ふみちゃんさん

房総は広く、しかも、内・中・外と趣が違っていて、何度言っても新発見がいっぱいです。
猫とお客さんが触れ合えるかたちを考えたい、とアヤさんは言ってました~

by 道ばた猫 2016-02-24 00:21

>さりゅさん

チワワのミルクちゃん(♂)は、猫化が進み、猫たちと一緒に前足でお顔を毛づくろいしたり、猫トイレで用を足すこともあるそうです(笑)。

by 道ばた猫 2016-02-24 00:25

なんて素敵なカフェでしょうか!
近くなら絶対に毎日でもおじゃましたいですね!!

by りえ 2016-02-24 06:09

今までたくさんの窓猫たちを見たことがありますが、ここまで見事な窓猫さんたちには出会ったことがありません^^猫に同化してるミルクちゃん、可愛くて笑ってしまいました。
本当に居心地の良さそうなカフェですね!

by ちぃこ 2016-02-24 18:50

>りえさん

はい、私も、近くだったら、一日おきくらいに行きたいところです(笑)。
イタリアで料理修行をしたこともあるユタカさんの味付けは、ほんとうにおいしかったです~

by 道ばた猫 2016-02-24 23:17

>ちぃこさん

うちの猫たちは、通りに面した出窓のカーテンの隙間から窓猫しては、「わ、びっくりした!」と、通る人をビビらせています(笑)。

by 道ばた猫 2016-02-24 23:24

館山にこんな素敵なところが有ったとは!
昨年、館山へ一泊旅行する前に知っていたら、絶対に行ったはず。
先日は、松山庭園美術館で思いがけずお会いできて、嬉しかったです。
現在、近所の野良猫を捕獲して、大人猫は地域猫として、1年未満の子達は里親探しをしようと活動中です。
昨日、3匹捕獲して、主人は負傷してしまいましたが、懲りずに世話をしています。
少しでも幸せな猫さんが増えるように、非力ですが頑張りたいと思います。
素敵な猫達のお話、毎週楽しみにしています。

by るな 2016-02-25 02:06

>るなさん

ご夫婦で心を合わせて地域猫活動なさるなんて、拍手!!
この上なく頼もしい同志ですね~。またゆっくりお話を聞かせてください。

by 道ばた猫 2016-02-25 23:07

私もこんな猫窓に遭遇したいです(^-^)
チワワちゃんが猫ちゃんたちと仲良くしててほっこりしました。いつも心に響くお話と写真に感動してます!

by さくらこ 2016-02-26 22:20

>さくらこさん

いつも楽しんでくださってうれしいです~
チワワのミルクちゃんは、13匹のなかで好きなコがいるそうですが、そのコにはつれなくされているそうです・・・。

by 道ばた猫 2016-02-27 08:11