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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2015年12月08日

再会

ボク、茶太郎。写真はボクが「女の子みたい」っていわれてたちっちゃいとき。

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元捨て猫だったボクだけど、いまは東京の7人家族のおうちで、とっても可愛がられてるの。
パパにママに、おじいちゃんにおばあちゃんに、お兄ちゃんに、大きいお姉ちゃんに小さいお姉ちゃん。みんな僕にメロメロなんだよ。
前にいた「うるる」ちゃんって猫を亡くした後、瓜二つのボクに出会って、一家をあげてのペットロスから立ち直ったんだ。
なかでも、パパはボクを見ると、目尻が下がるの。
ボクは、パパとママと毎晩川の字になって寝てるんだよ!

とってもいいお天気だったおとといの日曜日。
「いいところに連れてってあげるね」っていわれて、おじいちゃんとおばあちゃんとパパとママと小さいお姉ちゃんと一緒に車に乗り込んだの。
ずいぶん走って、「さあ、着いたよ」って、キャリーごと地面に降ろされたら、ボクよりちょっと大きな、どっかで見たことがあるような黄色い猫がとんできた。

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その黄色い猫は、ボクの匂いを嗅ぐなり、「シャー(やい、ちびっこいの、ここはボクの縄張りだ)」って、威張るから、ボク、ビビっちゃった。
だけど、こうして迎えられたこと、ずっと前にもあったような気もしたの...。

その日は紅葉を見にたくさんの人がいたから、ボクは迷子にならないよう、リードっていうのを付けられることになった。
でも、ボクはそんなきゅうくつなの気にくわなかったから、スルリと抜けて、お庭の茂みに飛び込んじゃった。

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そこは、なつかしい匂いがしたよ。モミジや松葉がふかふか積もった土の上。
あっ、思い出したよ。ボク、ここで遊んだことあったよ!

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茂みの中は迷路みたいになっていて、ここで追いかけっこしたんだ。
とってもやさしいお兄ちゃんと。えーっと、トラノスケおにいちゃん。黄色くて、ボクとおんなじ元ノラだった。木登り教えてくれて、 いっしょに空を見上げたっけ。楽しかったなあ。

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そうだよ、そうだよ。ボクの目の前にいるのが、トラノスケお兄ちゃんだ!
お兄ちゃん、お兄ちゃん。

でも、お兄ちゃんは、ボクが近寄ると、「シャー」って言うんだ。そのくせ、ボクのこと、気にして、ずっとそばにいるんだ。

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お部屋に入っても、お兄ちゃんはついてきた。
あっ、この白いお花模様のテーブルクロスも思い出した!
捨てられて、拾われて、この美術館に持ち込まれた時、心細くてこのクロスの陰に隠れてるボクを、トラノスケお兄ちゃんはじっと見てた。
ちょうどいまみたいに。

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お客さんが、猫じゃらしでボクを遊ばせてくれた。お兄ちゃんは、離れたところから、そんなボクをじっと見てた。

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虎之介ママとボクのママたちはあれこれ言いあってた。。
「虎之介はあんなに可愛がってたチビをもう忘れたのかしら。茶太郎はすぐに思い出したのに」
「チビだった茶太郎が大きくなって、いきなり現れたから混乱してるんだわ」
「それとも、お前はもう美術館の卒業生なんだ、って一線ひいてるのかしら」

ボクがいなくなった後、美術館には、前にいた「モミジ郎」って猫にそっくりな子猫が持ち込まれたんだって。館主のコノキ先生は、モミジ郎が生まれ変わって帰ってきたと思って、里子に出せなくなったらしい。
「モミジ」って名になったその子の遊び相手に、いま、トラノスケお兄ちゃんはなってあげてるんだって。

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でも、その「モミジ」って子は、ボクと違って、けっこう「我が道を行く」タイプだから、トラノスケ兄ちゃんはタジタジらしい。

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そっか、トラノスケ兄ちゃんは、ボクのお兄ちゃんを卒業した後、ひとりぼっちでここにやってきたモミジくんのお兄ちゃんになったんだね。
ボクは、7人家族のみんなに可愛がられて、しあわせそうで、もう何の心配もないから、きっと知らんぷりをしてるんだ。

あっという間に3時間が過ぎた。ぼくをキャリーに入れ、美術館を後に駐車場に向かいかけたママたちは、後ろを振り向いて「あっ」といったよ。
虎之介兄ちゃんが、懸命に後を追ってきたんだ。お兄ちゃんは、駐車場までついてきて、車の前や後ろをうろうろし始めた。
「やっぱり、虎之介くんは、茶太郎だって、とっくに気づいてたんだ」って、ボクのママは泣きそうになってた。

虎之介ママがトラノスケ兄ちゃんを抱っこして、車の窓越しにボクとお別れをさせてくれたよ。
キャリーをのぞき込んだお兄ちゃんは「なんだよ、チビ、もう帰んのかよう」って言った。

ボクは、おうちまでの道中、キャリーの中でおしっこをしちゃった。美術館ではちょっと緊張してガマンしてたんだ。
そしたら、気が緩んで、家に着くまでぐっすり寝入って、家についてからも爆睡しちゃったの。
ボクのおうちは、ここ。 ボクは、小島茶太郎。

「また、来年、美術館に遊びに行こうか」ってママは言った。
うん。こんどいったら、モミジくんもいっしょに庭で追いかけっこしてみたいな。

美術館にはまた捨て猫があったんだって。夜帰ってきた館長さんが見つけなければ、カラスにやられていたくらいちっちゃな2匹。どうして人間て、簡単にボクたちを捨てるんだろう。
白猫ミー姐さんが、その「ぶさかわ姉妹」の面倒を見てて、里親募集中。まだちっちゃいモミジくんも、自分よりちっちゃい2匹の面倒見始めたって。

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ボクみたいに、2匹にもいいおうちが早く見つかりますように!


写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。取材先の町々で出会った猫たちのしたたかけなげな物語を、写真と文で伝えるべく、小さな写真展を展開中。飼い猫4匹。馴染み猫数しれず。
『しあわせになった猫 しあわせをくれた猫 』(辰巳出版)、『里山の子、さっちゃん』(辰巳出版)好評発売中。

カテゴリ: 道ばた猫日記

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みにゃさまのコメント

会社で昼休みに読んでて、泣きそうになって焦りました。。とらのすけぇ〜!なんて良い兄貴なんだぁ〜!

by さや 2015-12-08 12:34

いつも拝見しています。私も会社の昼休みなのに泣きそうになりました(T_T)
一緒に過ごしてたもんね。最初はぎごちないけどお互い忘れないよねって。

佐竹さんの文章、本当に好きです。
いつも心があったかくなるお話ありがとうございます(^_^)これからも楽しみにしてます★

by みゆみゆ 2015-12-08 13:19

佐竹さんいつも色んな事考えさせてくれる記事楽しみにしています。幸せそうな可愛い茶太郎君見て良かったね、とトラノスケ君の優しさ美術館のトラノスケママの包容力にあったかくなりました。でも最後の文章の新しい子達の事が保護してくれる人がいるからか、なぜ美術館なんでしょう?そこで何とかしてくれると思ってるのでしょうか?その子達には良かったね、幸せにしてくれる人に会えますようにと、願います。そして最後まで責任持ってお世話しましょうと当たり前の事今もう一度言いたいです。

by ひとみ 2015-12-08 14:54

虎之介君の思いやりは、昨日まで家族だった子を平気で捨てるような人間よりずっと、ずっと深くて暖かいです。今は新しい家族と幸せになって欲しいから、わざとつれない素振りをしたんだと思います。それに今は新しい子を面倒見るのに忙しいですものね。茶太郎君はもう心配ないってわかってるんですね。だってとってもやさしい家族が一緒にいるんだから。

by ふみちゃん 2015-12-08 15:10

佐竹さん、皆様、何時も温かく見守って下さりありがとうございます。この記事を読ませて頂き、私も涙がこぼれました。茶太郎は本当に可愛くて、虎之介も良く可愛がり、手元に置きたかったのですが、家庭の事情でそうもいかず、泣く泣く手放した子でした。でも、こうして良い家族に恵まれて幸せに暮らしているので、私も虎之介も幸せです。これからも宜しくお願い致します(*・ω・)*_ _)ペコリ

by 虎之介ママ 2015-12-08 16:20

茶太郎くんが里帰りしてくれたのですね。ステキな猫さんに成長しましたね❤︎
11月の連休中に美術館を再訪し、大きく逞しくなった可愛い虎之介くんに会う事が出来ました。モミジくん(まだお名前は付いていなかった)がやって来た翌日でしたが、此木ご夫妻はモミジ郎の生まれ変わりだとそれはそれは可愛がっていらっしゃいました…あの子が美術館の子になったのですね‼︎感激です。
行くと幸せな気持ちになれるステキな場所

by ケロ 2015-12-08 17:49

(途中で投稿してしまいました)
これからも季節の折々に訪れたいと思います。佐竹さんのブログで美術館のネコたちの様子を見られるのも楽しみにしています‼︎

by ケロ 2015-12-08 17:53

先日は素敵な1日をありがとうございました。虎之介くんと茶太郎の再会、どうなるのだろうと思っていましたが、少しずつ虎之介くんと美術館で過ごしたことを思い出した茶太郎の姿、そんな茶太郎を戸惑いながらも見つめる虎之介くんの姿、本当に感動的でした。帰る時に追いかけてきてくれた虎之介くんの姿を思い出すと今も涙が溢れます。そんな私を膝に寝そべりながら見つめている茶太郎、本当に大事な家族です。虎之介ママや虎之介くんの分も可愛がるから心配しないでね。佐竹さん、素敵なブログ本当にありがとうございます。また2月にお会いできること、楽しみにしています。

by 茶太郎ママ 2015-12-08 19:22

虎之介くん、駐車場まで追いかけてくるなんて、健気だな〜(/ _ ; )
わたしも泣きそうになりました>_<
茶太郎くんのお目々がピカピカで、今がとても幸せなのがよく分かります(=^x^=)
成長する姿が時々でも見られて本当に嬉しいです^ ^
捨てられていた子猫ちゃんたちにもいいご縁がありますように・・!

by akiko 2015-12-08 20:43

>さやさん

虎之介、いい兄貴でしょ!
東京は下町のノラの出で、幼いながら人情(猫情)をちゃんと心得てるんです(笑)

by 道ばた猫 2015-12-08 22:33

>みゆみゆさん

嬉しいコメント、ありがとうございます。励みになります。
猫の数だけ猫の物語。どの子もどの子も、いじらしいです。

by 道ばた猫 2015-12-08 22:38

>ひとみさん

ほんとうに。救いを待つ子猫の寂しさ、ひもじさ、不安と恐怖に、捨てた人は思い至らないのでしょうか。ノラの母さんはどんなにガツガツでも、子どもたちを守り抜こうとするのに。

by 道ばた猫 2015-12-08 22:46

>ふみちゃんさん

猫は子捨てをしない、戦争をしない、それだけでも人間より上等と、私には思えます。
猫に学ぶことはいっぱいですね~

by 道ばた猫 2015-12-08 22:50

小さなからだで精一杯生きる猫たちが、いじらしくてたまりません。猫同士の絆に涙が出そうです。こんなに賢く可愛い存在を捨てる人間は罰が当たりますね。見返すほど幸せになりますように。

by ねこま 2015-12-08 22:54

>虎之介ママさん

モミジ郎、虎之介、茶太郎、モミジ…美術館にやってきた猫たちに、私たちって、なんて大きな贈り物をもらっているのでしょう。猫たちに乾杯! みんないい子!

by 道ばた猫 2015-12-08 22:54

>ケロさん

虎之介は、モミジが言うことを聞かないので、最初はずいぶんかんしゃくを起していたみたいです。
モミジがモミジ郎の生まれ変わりなら、そりゃあ、子分にはなかなかなりませんね(笑)

by 道ばた猫 2015-12-08 22:57

>茶太郎ママ
日曜は、茶太郎くん、長旅お疲れさまでした。3時間でしたけど、虎・茶きょうだいは、目に焼き付くドラマを見せてくれました。それぞれに幸せで、それぞれの飼い主さんも幸せで、紹介できた私も幸せです。

by 道ばた猫 2015-12-08 23:04

>akikoさん

茶太郎くんは、愛され顔ですよね~  
新入り「ぶさかわ姉妹」(館でそう呼ばれてました)も、目と目が離れてて、短足で、なんとも言えずかわいいので、もらわれて愛され猫になるはずです。

by 道ばた猫 2015-12-08 23:09

>ねこまさん

本当に体も脳みそも人間のほうが大きいのに、ハートで完全に負けてますよね!
人間は余計なことをし過ぎ。猫のように、大切なことだけをしっかりやって生きていきたい。そう思います。

by 道ばた猫 2015-12-08 23:14

それぞれの中に・・・・・過ぎた時間の事でも、忘れられないかけがえのない時間が残っているんですね。
そして歩んでいくんですね。

by ぐり 2015-12-08 23:15

>ぐりさん

この記事で発信したかったことを、なんて詩的にコメントしてくださったのでしょう。
巡りあい、それぞれの人生が交差するのが束の間としても、こうして残像のように心の奥に残るんですよね~ 私たちも。

by 道ばた猫 2015-12-08 23:45

今日のお話も心に沁みました。佐竹さんの書く文章と写真が好きです。どうしたらそんなに良い表情の写真が撮れるのでしょう?(きっと人徳ですね)うちの子も佐竹さんに撮ってもらったらいつもと違う顔が見られるのかな?なんて思いました。

by さりゅ 2015-12-09 01:08

今回も素敵なお話し、ありがとうございました。
茶太郎くんの可愛らしさ、虎之介くんのたくましさと優しさに胸がいっぱいになりました。
モミジ郎の生まれ変わりのモミジくんの成長も楽しみです。
猫はいつも一生懸命で気高く健気ですよね。
我が家のはなちゃん(茶太郎くんと似ています(^^))を見ていてもいつもそう感じます。

by はなママ 2015-12-09 16:19

前回の記事でいっしょに飛行機雲を眺める2匹の写真が大好きでした。後日談が聞けて嬉しいです。
茶太郎くんが気になるのにシャーって言っちゃう虎之介くん。(テーブルクロス越しに「ガン見」する姿にちょっと笑ってしまいました。)成長して里帰りした「弟」に照れているのか、新しい家の子なのだから一線を引いているのか…。でも、いずれにしてもちゃんと覚えているのですね^^

by かや 2015-12-09 20:09

>さりゅさん

猫の写真は、人徳でも技術でもなく、猫バカ度だと思います(笑)。飼い主さんの撮る写真にはかないません。さりゅさんも、「きょうもかわいいね!」って元ノラさんをほめながら撮ってるのかな~

by 道ばた猫 2015-12-10 00:55

>はなママさん

そうです、そうです!
猫はいつも一生懸命で気高くけなげ。いい加減に見えて、あれは、一生懸命なんです(笑)。

by 道ばた猫 2015-12-10 00:57

>かやさん

母猫が「子育て終わり!」とすると、我が子につれなくするでしょう。虎之介君は、あんな心理だったのかと。つれなくしながらも、何度か、「グルグルル~」って、母猫が子を呼び寄せる声を、思わず出していましたけど。

by 道ばた猫 2015-12-10 01:02

茶太郎くん、久しぶりにトラノスケお兄ちゃんに会えて良かったね。
キミが幸せになることがトラノスケお兄ちゃんは一番嬉しいんだよ。
御家族と幸せになってね♪
ワタシも家族を迎えました。
幸せにします。
頑張ろうね。
不幸な猫ちゃんがいなくなりますように願っています。

by 紫音 2015-12-10 14:28

>紫音さん

紫音さんちの新しい家族に乾杯!
「幸せにします」という6文字が、輝いて目に飛び込んできました。お互いに幸せを贈りあってくださいね!

by 道ばた猫 2015-12-11 02:46

いつもいつも佐竹さんの記事を読みながら・・涙が・・。隣で我が家のにゃん達がどうしたの・・?って
顔をじっと見ています。茶太郎くんの元気な様子を見れて、虎ちゃんの元気な顔を見れて本当に良かった!虎ちゃん、きっと大きくなった茶太郎くんにどうやって相手をして良いかわからなかったんでしょうね・・。ちゃんと猫たちのお世話をしてくださる美術館のママさんたちに本当に頭が下がります。本当にありがとうございます。一匹でも命がつながっている事・・・、祈っています。

by りんりん 2015-12-21 14:38

>りんりんさん

美術館のご夫妻の懐の広さは、ほんとうにすばらしい!
仔猫2匹のうち、キジトラちゃんは、アメリカ人女性が気に入って里親になってくださったそうです。

by 道ばた猫 2015-12-24 16:55