[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

みにゃさま、こんにちは、猫部スタッフです。

今回は、兵庫県伊丹市昆虫館、通称「いたこん」さんにお邪魔しました。
これまで猫さん、ワンちゃんには取材してきましたが、昆虫や植物ともお話できるという岩津さんの言葉に「？！」となりながらも興味津々で同行してきました。
いったいどんなことをお話してくれたのでしょうか。

兵庫県伊丹市昆虫館（「いたこん」）はこじんまりとしていますが、花や木々・昆虫の楽園とも言われており、昆虫好きの子どもや大人に根強い人気のある開館２５年目の昆虫館です。

熱帯植物の生い茂った大きな温室に入ると、約1000匹の蝶たちが美しく舞っています。
奄美～八重山諸島に生息する黄金の卵を産むオオゴマダラが一番にお話をしてくれました。



落ち着いた様子で私の顔をじっと見て、「さあ、どうぞ。何でも聞いて」と私の言葉を待っています。まるで温室の広報係のようです。「完璧な体ね」と美しいその姿をほめると、「あら、あなたたちもじゃない」とさらっと返します。

生き物は基本的にほかと比べません（自分自身という個性について）。なぜなら個々が完全だからです。完全なので比べる必要がないのです。皆、ありのままで堂々としています。多様なものが多様なままに生きています。

ここは楽しい？と尋ねると、「そうね。ここは統制が取れてるの」と。なるほど、そうですか！

「私たち人間にメッセージはありますか？」という質問には、「私たちのことをもっと知ってほしいわ」と答えてくれました。私が質問するとよどみなく、すぐに答えが返ってきます。さすが広報さん。

質問に答えてくれてありがとうと伝えると、「あら！ もういいの？」と物足りない様子。しばらく私を見ていましたが、人間が肩をすくめるような感じで「OK」と言って飛びたち、葉っぱに卵を産みつけに行きました。お母さんだったんですね。

この温室にはランの一種である「デンドロビウム・ファレノプシス」という甘く妖艶な香りを放つランの大きな木が生えています。



うっとりして匂っていると、「そっと触れてね」とランが言います。そう、植物もお話ししてくれるんですよ。
私は香りにうっとりしていて自覚がなかったのですが、匂いながらお花に触れていたようです。

この一言で目が覚め、「えっ？」と聞き返すと、「みんなのための私たちなの」と言います。「いつもみんなのためにありがとう」と伝えると、「あななたちもじゃない」と優しい笑顔で返してくれました。これまた深い一言です。

地球上に生きるものはすべて、関わり合いながらみんなのために生きています。人も動物も植物も微生物も、みんなつながっています。ひとつだけ切り取って存在することはできません。みんなのための私、私のためのみんな、なのです。なのでみんなも自分自身も大切にしなければなりませんね。
深い言葉をいくつも聞いて、蝶の温室だけで頭も胸もいっぱいです。心地よくボーッとしながら温室を後にして次のコーナーへ。

かわいらしいツマベニチョウの幼虫。きれいな緑色でモゾモゾと木を這っています。



のぞきこむと驚かせたようで、「もう！ あっち行って！」とかわいらしい声で怒られました。怒った様子もかわいく愛しいです。

お次は、擬態の得意なヒシムネカリカマキリ。



まったく動きがないので何度もあいさつをすると、「はいはい、聞こえていますよ」と返事がありました。あちこちに卵が産みつけてあるので、こんなにあなたが産んだの？と尋ねると、「そうよ。それが私の役目だから。」と言います。なるほど、その通りですね。動かないのは卵を見張っていたからのようです。

ハナムグリ。



ハナムグリとコガネムシは私にとって特別な虫で、私の最初のお友達です（人間以外で）。
いつも一緒に過ごし、幼稚園や小学校から帰ると一日にあったことをお話ししていました。この昔の思い出を振り返って、あなたたちは穏やかで優しくて控えめでがんばり屋さんで...とハナムグリの好きな所を伝えていると、照れながらもうれしそうに聞いてくれています。後ろから他の子が「ねえねえ」とやって来ると、「ちょっと今お話してるから後にしてくれる？」とその子に言います。しばらくお話を聞いてもらったので感謝とまた会いに来ることを伝えると、「おう！」とかっこよく手を挙げてバイバイをしてくれました。

昆虫の王様、ヘラクレスオオカブト。



のんびりしていて穏やかです。あなたは世界中の子どもたちの人気者なのよ、知ってる？と尋ねると、「うん、知ってるよ。みんな会いに来てくれるからね。」と言います。さすがです！

角が特徴的なコーカサスオオカブト。



のぞき込むと、「今、食事中だからちょっと待って」と言われました。食事が終わったのを確かめてインタビューです。ケンカが強いと説明パネルにあるので、どうしたらあなたたちみたいに強く美しくなれるのかしら？と尋ねると、「うーん...」としばらく考え、「あなたたちはあなたたちでいいんじゃないの？」というお答えが。納得です。ありがとう^_^

「いたこん」さんでの時間は、妖精のように魅力的でちゃめっけのある蝶や昆虫と美しい植物に囲まれ、まるでファンタジーの世界に迷い込んでしまったようでした。

生き物の種類によって生まれ持った傾向がありますが、昆虫たちからは「落ち着いていて寛容」という印象を受けました。自然と密接な生活だからか、地球での種の役目をそれぞれが分かっていて全うしています。あっさりしているとも感じたのですが、こだわりや執着がないのはそれぞれの役目に徹しているからかもしれません。

お話してみて、見習うべきことや気づきが多くあった今回の訪問でした。昆虫館のみんな、ありがとうございました！