[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

ドアを開けるとそこは"猫国"であった。
しかし、一歩踏み込むと、猫は"サササーッ"とクモの子を散らすように退散。でも、運良く15歳のサバシロ柄「タラオ」だけは一人ベッドで佇んでいた。

突然目の前にあらわれた子猫

タラオと飼い主・山田紀子さんとの出会いは15年前。それは職場の休憩時間、突然に訪れました。
この日、山田さんは川沿いの公園へと向かったのですが、どこからともなく聴こえてくる「みゃーみゃー」音。「ん？」その泣き声はだんだんと大きく鳴り響いてきます。公園内を見渡すと舗装された歩道の真ん中に"ぽつり"、大きな声で泣きじゃくる子猫を見つけました。不意中の不意に訪れた出会いでしたが、何度も捨て猫を保護し育てた経験がある山田さんは、慣れた手つきで子猫を抱き上げ、急いで事務所へと戻るのでした。



当時、山田さんはディスカウントストアで働いていました。すぐにミルクと猫缶を買い与えることができる環境にいるなんて、出会いのタイミングから何か運命的なものを感じませんか？猫はやっぱり人を見ているんだなぁと私は思います。休憩を終えた山田さんは、一時子猫をダンボールへ預け、午後の仕事へと戻ります。そして仕事が終わると一目散に動物病院へ駆け込むのでした。

「2匹飼いの時が一番気を使った」と言う山田さん。（現在はなんと猫7匹！）病院で検査を済ませ子猫を家に連れて帰ったのですが、先住猫（チンチラ）の反応が気になります。2匹の相性はどうか？里親を探したほうがいいのか？と考えを巡らせるのですが、2匹とも深く干渉せず、良い距離感を保ちながら子猫は自然に山田家にとけ込んでいきました。名まえの由来は国民的アニメより「タラちゃんはいい子だからOK」とご主人のお墨付きを得て「タラオ」に決定。ちなみに「カツオ」は即ご主人に却下されたそうですが......。


サバ柄なので「サバ男」という案もありましたが、これも却下。私的にはOKなんですけどね。

口コミで集まった山田家の猫たち

元々、ゆったり、おっとりとした性格で争いを好まないタイプのタラオなので、後から加わるきょうだいに対して寛容な態度で接するのはある程度予想がつきました。次に保護した猫「チョビ」を迎え入れるとき、山田さんに不安はありませんでした。事実タラオは優しく、面倒見の良い兄の姿をみせてくれたのでした。


キジシロ柄のチョビ（12歳・女の子）。来客は苦手？でも私好み！


こちらが現在、タラオ兄ちゃん大好き猫の「くまお」。（9歳・男の子） 寝る時はくっついて寝るほどのストーカー猫。

そして現在、山田家には7匹の猫がいます。4匹目までは「これ以上は無理！」と家庭内で予防線を張っていたのですが、いよいよ5匹目を受け入れざるを得ない状況になったとき「しょうがない！」と心が決壊。それからなぜか？毎年のように地域猫・迷い猫を保護することになり、気がつけば7匹の大所帯に。山田さん、猫の口コミ力をあなどってはいけません。もうその界隈でウワサになっていますよ。とはいえ、7匹全てが保護猫とは本当に頭が下がる思いです。山田さん、ありがとうございます。


ぽちゃ猫見つけました。
3番目にやってきたアメショ風の「ウリ」ちゃん（10歳・女の子）。


どれが本物？ぬいぐるみにまぎれる黒猫「てんてん」（8才・女の子）は超がつくほどのビビリさん。


6番目に保護された長毛さんの「シャー」（5歳・男の子）。こちらも逃げるタイミングを計っています。


7番目にやってきた茶トラの「きなこ」（5歳・女の子）。
下半身不随で保護され、現在も人の手による圧迫排尿が必要とのこと。


みんにゃを救ってくれてありがとにゃー。と長男のタラオが申しております。

カツオにこだわる男

タラオには長寿の肝である「歯」がほとんどありません。それでもドライフードを残っている小さい歯や歯茎でちぎって器用に食べてみせます。フードは年齢を問わず7匹全員が同じメニューで朝晩の2回が基本。1回の量はウエットフード1缶＋ドライフード3〜4皿でそれを7匹でシェアするのが山田家スタイルです。当然、食事量に差がでるので、臨機応変に調整しています。



タラオはグルメで、気に入らないと絶対に食べないというガンコ者だから大変です。そのため何種類ものフードをストックしているのですが、中でもタラオの大好物、おやつタイプの「焼きカツオ」、ウエットフードのカツオ味の補充には細心の注意を払わないといけません。ここにも愛が溢れていました。


そして、うみゃー！大満足の表情。

さらに山田家で特筆すべき点は「水」にこだわっているところ。若い猫には歯を大事にしてもらいたいという思いから、また高齢猫には腎疾患に備えるため「水素水」を与えているようです。そんな家族の思いを知ってか知らずか、今日もシンクの水道水を飲もうとするタラオってお茶目。猫って流水好きですよねぇ、こればっかりは咎められません。


流れる水は美味しそうに見えるのかな？
そしてご長寿猫は脚が濡れるとか、もはや気にしないのだ。

自然体でいること

その他「構わない」「過度に触らない」「自然体でいる」など山田さん自身がタラオにストレスを与えないこともご長寿に繋がっているのかも？と思わされました。（え？私、めちゃくちゃ家の猫を触ってるんですけど！よし、ここは※個人の感想ですと付け加え切り抜けよう）



聞けば山田さんの保護猫活動は子どもの頃から始まっていました。捨て猫がまだまだ多い時代、地域も関係しているのでしょう。小学生の山田さんは「かわいそう」な猫を見るとすぐに家へ連れ帰ってくる癖が当時からあったそうで。父親には「またか！返してきなさい！」と怒られながらも、それを毎回猫好きの母親が許すといったルーティーンを繰り返し続けること8回。当然その数8匹の猫と暮らす大家族になっていました。

そんな猫飼い歴何十年、経験があってこそ心に余裕が生まれるのですね。「自然体でいる」ことは決して干渉していない、見ていないわけではなく、むしろよく見ることだと言えます。一歩引いて観察する力でご長寿猫を育む、猫飼い上級者山田さんに脱帽した、今回の猫又トリップでした。


よく観察すること。それが大事にゃー。



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