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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2015年06月09日

5人のママ

「ゆめ」くんは、生まれてまだひと月くらいのキジトラの男の子。
産んでくれたママはもういないけれど、「ゆめぼう、すくすく大きくなあれ」と心を注いでくれる5人のママがいます。
消え入りそうだったゆめくんの小さないのちは、さとママ、あずママ、るいママ、ちせママ、みさママという5人のママたちのチームワークで救われました。

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ゆめくんを産んだママは、ノラでした。先月の大雨の日、まだ生まれて3週間くらいのゆめくんを連れて避難したのは、農家のビニールハウス。。我が子を濡れないところに置くと、ご 飯を探しにでかけたのでしょう、通りで車にはねられて、ゆめくんのもとには帰ってきませんでした。

帰ってこないママを求めて、ゆめくんは3日間も「ミイ―ミイー」と泣き叫び続けました。
その必死な声を聞きつけたのが、たまたまよその町から農産物を買いに来ていたさとママ。「小さすぎて助からない」という周りの声を耳にしながら、片目がつぶれたその仔猫を、周りのみんなと同じように見捨てることなんてできませんでした。この真夏のような暑さの中では、いのちはほどなく尽きるでしょう。何も食べていないのに、大きな鳴き声は「生きたい! 生きたい!」と叫んでいるようです。でも、自分は猫を飼える事情ではないので、ケイタイで相談したのが、友人のあずママ。

あずママも、とても今は猫を飼える事情ではなく、るいママに相談。みんな時間も体力もいっぱいいっぱいな状態でしたが、とにかくみんなで力を合わせて、当分持ち回りで子猫を育てよう、とすぐに思いは一致しました。

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まずはあずママのおうちに。仔猫用のミルクをシリンジで口に入れてもらい、温めてもらいました。

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翌日、動物病院に行って、診察してもらうと、栄養失調と低体温。健康な子猫の体温は38・5度くらいなのですが、ゆめくんは35度台しかありませんでした。目はきれいにしてもらい ましたが、ウィルスが入り込んでいて、片目、もしくは両目が見えないままかもということ。あのままだったら、半日もったかどうか。この一週間が命が助かるかどうかのヤマ場だということでした。

点滴に2日通って、4日目に、ちせママのおうちに。すぐ近所に住むるいママとみさママと3人で、病院通いも含めたローテーションを組んでの世話が始まりました。
ちせママの家には「福ちゃん」という両目の見えない保護猫がいます。

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「うちの福も、両目が見えなくたって、不自由なく、ふつうに暮らしているんだから、片方の目が見えなくたって、ぜーんぜん大丈夫!」と、ちせママはゆめくんに言い聞かせてやりました。

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「治療は尽くしても、もしかしたら、見えないままかも。里親探しは難しい」ということを知ったみさママは、「じゃあ、うちの子にするわ」と、すぐに決断。日中は働いているので、ゆめくんがもう少し大きくなり、食事タイムの間隔が長くなってからのお引っ越しとなりました。

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先月27日に拾われてきてから、2週間。
体温は平熱になり、栄養食を混ぜたミルクの飲みっぷりのいいこと。もうひと安心。歯もはえてきて、トイレもちゃんと使えます。
左目の回復は難しいようですが、右目の回復はのぞめるとのこと。
人間が大好きな活発な子です。

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みさママの家には、月ちゃん花ちゃんというやはり元ノラのお姉ちゃんが待っています。きっと、のびのび、やんちゃに育つことでしょう。
5人のママが見守っています。

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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

夢ちゃんの乳母をやっていますチセママです。
今朝体重を測ったら450gになりました。
3日間で50gも増えました。

引き受けた時は両足を開いてよたよたと歩いていましたが、今はタッタカターと
素早く走り目が離せなくなりました。

歯も生えてきましたので、もうすぐカリカリも食べられるようになると思います。

もうすぐお別れが来るでしょうが、みさママのお家は30秒で行けますので毎日
顔を見に行くつもりです。

小さな体で3日間も助けを求めて繋がった命。
本当に生命力と運が強い仔ですね。

きっときっと幸せになると思います。

by chisemama 2015-06-09 13:32

本当に素敵なママ達に出会えて良かったです。
助かる命放っておけないですよね。。我が家も去年同じくらいの子猫を主人が拾ってきました。今は家族の中心となっております♪初めは目も感染していて、ケガもしていました。治ったら里親募集の予定でした(次男が猫アレルギーと為)しかし、子猫のケガが治るにつれて次男のアレルギーが治まってきました。飼うと決断するまでは不安ばかりでしたが今ではなくてはならない存在です♪

by marimama 2015-06-09 17:10

夢ぼう(o^^o)かわいい

by はっちゃん 2015-06-09 19:23

ノラのお母さん、必死だったのでしょうね。子猫の面倒を見るのはただでさえ本当に手も時間もかかるもので、その状況で発見されて、本当によく生き延びたと思います。5人のお母さんたちの連携が素晴らしいです。皆さん、お疲れ様です&小さな命を救ってくれてありがとうございます。ゆめ君のお母さん(猫の)、きっと天国で見守ってくれていますね。

by ゆーこ 2015-06-09 20:34

ゆめちゃんの5人のママさんに救われ、よかったぁね、ママさん達のゆめちゃんを助けるためのおもいに頭が下がります。

by 風草 2015-06-09 22:12

素晴らしいお話!!
半年後の後日談に期待しています。

by しましま 2015-06-09 22:54

優しいママたちがいる。
ぬくぬくのお家がある。
愛情っていう養分をぐいぐい吸って、丈夫に育ってね(*´∀`*)

by きゃぐ 2015-06-09 23:18

素晴らしいですね。うちにも元ノラの子がいます。今では子供達の大切な子になっています。ゆめちゃんも、家族が出来大切な一員になれてきっと本当のママも喜んでいると思います。小さな命かもしれませんが、大切な命には変わりません。今、いろんな事件があったりする中で、子供同士の事件も増えている世の中。世間にも、今回のようにどんな命でも変わらずに大切にしなくてはいけないって事がいっぱい伝わってもらいたいですね。
ゆめちゃんの成長たのしみにしています。
楽しみながら頑張ってください(*^^*)

by りっくう 2015-06-10 00:46

>ちせママさん

検温、授乳、トイレの世話、動物病院通い・・・ごくろうさま。
でも、ゆめくんの愛らしさには、すべてがむくわれますね!

by 道ばた猫 2015-06-10 02:54

>marimamaさん

飼ってみれば猫アレルギーがどこかへ飛んで行ってしまったというお話、よく聞きますが、
猫愛が上回ったんでしょうね~ 子猫を拾ってきたご主人、素敵なパパですね!

by 道ばた猫 2015-06-10 02:59

>はっちゃんさん

そう、ゆめぼう、むちゃくちゃ可愛いんです。
上を向くと、鼻の黒い部分がハート形に見えます。みさママさんちの3匹目の福猫になることでしょう。

by 道ばた猫 2015-06-10 03:03

>ゆーこさん

帰らぬままを求めてあれほど声を限りに鳴いていたゆめくん、いまはまったく鳴かないそうです。
仔猫ながらに、すべてを分かってる気がします。

by 道ばた猫 2015-06-10 03:05

>風草さん

ひとりでは「ゼッタイ無理!」と思えることでも、こうして、すぐに心と力を合わせられる仲間がいるって、本当に素晴らしいですね!!

by 道ばた猫 2015-06-10 03:09

>しましまさん

はい! 可愛い盛りのゆめちゃんレポート、おまかせください。
たぶん、半年を待たず・・・・(笑)

by 道ばた猫 2015-06-10 03:12

>きゃぐさん

そうですね、ゆめくんの今呑んでいるミルクには、缶詰の栄養食と、5人分の愛情も入ってるんですね。すくすく大きくなるはずだ!

by 道ばた猫 2015-06-10 03:16

>りっくうさん

ゆめくんを迎えるみさママのおうちには、猫日記「八の字ひげの女の子」で紹介した、月ちゃん・花ちゃんが待っています。「どんないのちもたいせつ」をさらりと実行しているおうちです。

by 道ばた猫 2015-06-10 03:21

本当によかったぁ~*
元気に走り回っていること、新しいおうちが出来ること!
月 花 夢 とてもイイ響きですね~。
5人のママの素晴らしい連携に、嬉し涙がとまらなぁ~い♪

by りょう 2015-06-10 08:48

ゆめくん、可愛い~~!本当にラッキーなにゃんこちゃん。たくさんの人達の温かい想いがゆめくんに込められていますね!元気にすくすく育っていくことを願っています。本当に5人のママさん、ありがとうございます。また成長したゆめくん、載せてくださいね。

by りんりん 2015-06-10 10:37

書くのを忘れてしまいましたがチセママさんのところの福ちゃんも素敵な猫ちゃんですね。(理知的な顔つきですね)我が家の猫も左後ろ脚に膝蓋骨脱臼の症状があります。パニックした時とか、変な着地をしたときとかに症状が出ます。そのため安全を考えて初めての室内飼い猫になりました。障害があっても、それは「個性」として受け入れること、大切だと思います。ゆめくんの近況、楽しみにしています。

by ゆーこ 2015-06-10 18:32

5人のママさんお疲れさまです。
そして本当にありがとうございます。すばらしいネットワークですね。ゆめちゃんの猫お母さんもきっと喜んで見守ってくれてると思います。
ゆめちゃんたくさん食べて遊んでスクスク育ってね。君の生きたいという強い思いが強運を呼び寄せたんだよ。これからも強く生きてってね。

by 才蔵 2015-06-10 18:57

>りょうさん

月・花・夢・・・名前を呼ぶのが楽しくなりますね~ 
次は、「星」かな、「空」かな(笑)~

by 道ばた猫 2015-06-11 00:17

>りんりんさん

はい! しましまさんからもリクエストあったので、「その後のゆめくん」を、必ずや。
さあて、どんなやんちゃ坊主になっていることやら。「元気な子になります」という先生のお墨付きですから。

by 道ばた猫 2015-06-11 00:20

>ゆーこさん

そうなんですよね。猫は自分が他の猫より「足りない、違う」なんて、何一つ思ってない。
みんな、その子なりの「個性」なのですよね~。

by 道ばた猫 2015-06-11 00:23

>才蔵さん

ゆめくんへのエール、ありがとうございます!
夢君の視力はどれくらいになるか、分かりませんが、優しい景色や笑顔に囲まれて生きていくことは確かです。

by 道ばた猫 2015-06-11 00:26

5人のゆめくんまま、ゆめくんを助けて下さりありがとうございます。記事読んでて涙涙です。私にも何かお手伝いすることありますか?
本当にありがとうございました。
ゆめくんの目は治ることが難しいかもしれませんが、優しい(^-^)vに見守られてすくすくと成長する事でしょう。
ゆめくん、がんばれ!私も応援してます。

by 紫音 2015-06-11 23:02

>紫音さん

救いを求めたけど気づいてもらえなかった猫、気づかれても救われなかった猫、救われたけど助からなかった猫…そんなたくさんのいのちに比べると、気づいてもらえて助かった命というのは、奇跡のようなものかもしれませんね。「ほおっておけない」が、奇特なことではなくて個人・行政共に当たり前の世の中になりますように。
紫音さんたちの心からの応援が、5人のママの励ましになって、それが何よりのお手伝いと思います。

by 道ばた猫 2015-06-12 00:03

今日久しぶりに読んでまた泣きました。
家ネコにする予定の黒ネコが車に轢かれなくなっていると連絡を受け泣きながら行こうとすると話してくれた人がもう片してあるよと教えてくれましたが、片すって品物出はないと思いました。
野良猫を家ネコに迎える大変な事だけど負けない❗
負けられないんだと教えてもらった気がします。
黒ネコのご冥福をお祈りします。

by 紫音 2018-02-15 20:21