[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

みにゃさま、こんにちは。今回は以前、読者の方々に募集したお悩みを岩津さんにアドバイスいただきます。

東京都　ペンネーム Ｓさまからのご相談

我が家には、ボランティア団体から迎えた２歳のオス猫「ハチ」くんがいます。冬は、お布団に入ってきて一緒に寝たり、わたしがお風呂に入っていると、お風呂のふたに乗ってきてくつろいだりしていますが、夏になると、それらはしなくなり、別の部屋に居ることも多いです。冬にくっついて寝てくれるのは、単に湯たんぽ代わりなのかと思うのですが、そうなのでしょうか？

また、ハチくんは季節を問わず、おひざに乗ってきたり、抱っこされたがりません。スキンシップが好きではないのでしょうか？

もともと2匹で飼いたかったので、新たに子猫を迎えようと思っているのですが、2匹目は、おひざや抱っこ好きな子をと思っています。

ただ、ハチくんは、もし新しい子が抱っこやおひざでべったりしていたらどう思うのか、そもそも、他の猫が来ることに対してはどう思っているのかが気になっています。
ハチくんを1番に考えているので、ハチくんの思いを大切にしたいと思っています。ハチくんの私への気持ち、２匹目を迎えることについての気持ちを知りたいです。
ちなみに、ハチくんは色々な声でよく鳴く子です。
どうぞよろしくお願いします。

いただいたお写真からハチくんとコミュニケーションを取ってみました。

Sさんのご相談の内容を伝えると、「え？ 甘えていいんですか？」と驚くハチくん。

普段の様子を見てみると、「何かすることありますか？ ちょっとあっちで遊んできてもいいですか？ ここにいてもいいですか？ お疲れみたいですけど、何かあったんですか？」などと頻繁にＳさんに尋ねています。
いろいろな声で鳴くというのはこのことでしょうね。

コミュニケーション用に送っていただいた、上のお写真を撮る時も、「何かありましたか？ ここに居たら不都合ですか？」とSさんに尋ねています。
ハチ君に、Sさんへ伝えたいことを聞くと、「おうちに居させてもらってありがとうございます。ご恩返しがしたいんです。何をしたら喜んでもらえますか？ 何をしたらぼくは役に立てますか？」と...

動物の世界は、私たちの想像以上に礼儀やものの順序を重んじます。とりわけ猫さんたちは、ペットとして飼育される種の中では、ほかに迷惑を掛けないようにする傾向が強いのです。その意味でハチくんはとても猫らしい猫です。

「ぼくは引き取って育ててもらっている。お世話になっている。」という立場と礼儀を重んじ、一歩引いてSさんと関わっているようです。お世話になっている人のひざに乗ったり、だっこをしてもらうのは失礼に当たると思っているのです。

次の子を迎えることに関しては、「そうですか・・・」と寂しそうな表情で黙り込みました。でも、しばらくすると割り切ったような笑顔で、「分かりました。お世話をがんばります。お邪魔にならないようにします。」と言いました。

この様子と、「甘えていいんですか？」という最初の一言でハチくんの気持ちがわかりますね。本当は、もっともっとSさんに近づきたいのです！甘えたいのです！

ハチくんの生まれ持った性格がありますので、どれぐらい甘えられるかは分かりませんし、そうなるまで時間がかかるかもしれませんが、「気持ちを楽にして、あなたがのびのび暮らしてくれることが、私は何よりうれしいの。私たちは家族なんだから遠慮しないで。」と伝えてあげてください。そして、今まで気遣ってくれたことへの感謝も伝えてあげてください。

気持ちが通じ合えば、2匹目を迎えることは問題ないと思います。しかし今のままですぐにお迎えすると、ハチくんは疎外感や孤独を感じてしまうでしょう。ハチくんと家族の絆を強め、愛情を深めて下さい。

絆という土台をしっかり作った上で次の子をお迎えすれば、何があっても大丈夫です。もちろん、「愛情確認」という日々の会話とふれ合いは必要です。

冬場はSさんを湯たんぽ代わりにしているのでは？というご質問ですが、まったくの逆で、ハチくんが湯たんぽの役目をしているつもりだったそうです。Sさんが寒そうにしているのを見て、「ぼくで良かったら、ぼくの体で暖を取ってください。」と役に立とうとしていたそうですよ。

健気で謙虚なハチくんの姿に私は思わず胸がキュッとなりました。ぜひ、Ｓさんの愛情と感謝を伝えて、ますますおしあわせになってくださいね！

Ｓさまからご感想をいただきました。

この度は、ハチくんとコミュニケーションをとってくださり、ありがとうございました。

ハチくんがそんなに遠慮して気を使って生活していたことに気がつかず、申し訳ない気持ちです。

「大好きだよ」と、言葉でたくさん伝えていましたが、今後は、「遠慮しなくていいんだよ、思う存分甘えてくれることが、私の喜びでもあるんだよ」と言って、ハチくんが遠慮なく過ごせるようにしてあげたいです。

私は疲れていることがよくあるのですが、そこも敏感に感じ取っていたのですね。

いつも気遣ってくれるハチくんに感謝です。より一層愛しくなりました。