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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2014年05月07日

バラの森の猫たち その2・ニャジラ

 房総の山の中、ドリプレ・ローズガーデンの猫たち。今週は、先週の小顔アイドルコチロくんと正反対キャラのニャジラ登場です。

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 いかにも「ごんたくれ」という目つきのニャジラくん。別名「荒野の暴れん坊」だそうです。横顔には男の哀愁が漂うなかなかのいいオトコ。

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 6年前の初冬のドリプレにチロが舞い込んで、年が明けてチロの息子とおぼしきコチロがあらわれて、その翌春、山のほうからふらっとさまよい込んだのが、このニャジラ。人にも猫にも心を許さない、とにかく狂暴な、凄みのある巨大猫だったそうです。そんな厄介な男がいつのまにかガーデンの農具置き場をねぐらとして居ついてしまったのでした。

 鼻っ柱にある大きなバッテンキズをはじめ、顔面には無数のキズがありました。ということは、相手に正面から向かっていく度胸があるということ。弱っちいオスはお尻や背中にキズを負いますから。

 当然、チロと大げんかが続きました。コチロのこともよく追いつめて木に登らせたそうです。(それでコチロは木登り上手になったのね!)

 チロとコチロ父子の平和な日々は破られ、どうなることかと、ハラハラの連続だったオーナーご夫妻でしたが、数か月後、気づくといつのまにか、チロとニャジラは手打ちをしていたそうです。きっと、けっして強い猫ではないチロが息子たちを守るために闘う姿に、ニャジラは感じるところがあったのではないでしょうか。

 そして、なんと、チロとニャジラは、はたから見ると「ベタベタ」と映るくらい、大親友になったのでした。摩訶不思議、男の世界。

 ずっと嫌われ者だったニャジラが初めて得た親友は、一年後、イノシシと闘って命を落としてしまいました。チロが段ボール箱の棺に入れられても、ガーデンに埋葬されても、ニャジラはいつまでもそのそばを離れなかったそうです。ご主人いわく「その日以来、ニャジラはさみしい顔になってしまった」と。(生前のチロとニャジラの仲良しぶりや埋葬の日のニャジラの悲しみはご主人の「ドリプレローズガーデンのパトロール隊」というブログの「チロのこと」をごらんください。)

 そして、ニャジラは哀愁をまとった男になり、「かっこいい!」と、お客さんたちの人気者に。とはいえ、生来のさすらいの血はときどき騒ぐらしく、ふらっといなくなって、またふらっと舞い戻ることもたびたびだとか。今年2月の大雪のときも1週間戻らず、みんなを心配させましたが、何事もなかったように東の森から戻ってきました。

 そんな無頼なニャジラですが、本当は、寂しがり屋の甘えん坊らしいのです。ガーデンの小道の真ん中にゴロンと寝ているのも、かまってほしいからなのだとか。撫でてやると、ゴロゴロゴロと盛大な音を出して、あとをついてきます。

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 雨の日は、温室のもみ殻の上で空を見上げていました。

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 雨があがると、背伸びをして・・・・

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 ガーデンパトロールする目つきがなんともカッコいい。

 そして、「最近は暴れん坊が鳴りを潜め、すっかり丸くなった」と評判のニャジラは、ガーデンの中のあちこちで昼寝を楽しみます。

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 「ずっとうちの子だよ!」というしるしの可愛い首輪をつけてもらって、お客さんに撫でられても熟睡のニャジラ。鼻の古キズに草の汁が染み込んでいます。どんな夢を見ているのでしょう。もうすっかりガーデンの看板猫です。

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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

いや、男前ですね♪

きっとチロに義理立てして、ガーデンの平和を守ると決めたのでしょう。寂しさとともに強い意志みたいなものも写真からは感じます。

by 名無し 2014-05-07 16:43

かっこいいですね〜。
素敵な猫です。
チロとのエピソードもカッコイイ、猫って不思議ですね。
末永く看板猫としてみんなと過ごしてほしいです。

by 三毛にゃん 2014-05-08 00:15

今回もあったかい物語。
ドリプレローズガーデンのブログも開いてみました。
猫たちが教えてくれること。
やっぱりやっぱりあったかく切ないです。

by じゅんこ 2014-05-08 09:03

いい男ですね~。ニャジラって名前もびったりで素敵です。
ニャジラとチロとの間には、何か男の約束ごとが交わされたのかな。
チロの分まで、ニャジラがしっかりとガーデンを守っている気がしますね。

by ちぃこ 2014-05-10 21:36

チロとのエピソード
 哀愁のあるにゃんこなのですね。
ここなら、「人のこともまんざらじゃない」って思ってくれたのですね。
お客さんが撫でても熟睡なんて~*
パトロール姿はかっこよく、野生的!素敵!!

by りょう 2014-05-13 10:22

>みなさま

 ニャジラくん、イイオトコでしょう?  都会の猫は、子猫の時の去勢が一般的になり、こんな大顔で骨格のがっちりした、いかにものオス猫は見かけなくなりましたね~( ニャジラくん、現在は去勢済みですが、山猫生活が長かったので、十分野性味が残ってます)

by 道ばた猫 2014-05-13 11:16