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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2014年04月08日

ハヤシさんちの困ったちゃんその③  おっさん猫ルカ

ハヤシさんちの困ったちゃん、トリをつとめるのは、ルカくんです。ご覧のとおり、ルカは、ビジュアル的にはどちらかと言えば残念ちゃんの部類。お目々パッチリが主流の美猫とは到底言えないトホホなおっさん顔の茶白猫です。来客があるとこそこそっと隠れようとするしぐさも、猫の優美さとは程遠いものです。

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「私にとっては、そんなルカも他の子とまったく同じく可愛くてたまらない愛しい子。ルカ自身は、自分がこの世で一番可愛くていちばん愛されている猫だと思ってるふしがあるのだけれど」と、ルイさん。

ルカは、とってもやきもち焼き。ルイさんが他の猫をかまっていると、必ずやってきて、間に割り込みます。他の猫の名前を呼ぼうものなら、その猫より先にすっ飛んできます。ルイさん夫婦がテレビに熱中していると、自分に注目してほしくて、テレビの正面にデンと座ります。邪魔この上ないので、ルイさんが「ルカ、おいで」と呼ぶと、そうこなくっちゃとばかり、左肩に飛び乗ってきます。そして、前足でひとの髪をくしゃくしゃにして、ゴロゴロゴロ・・・と頭をすり寄せる甘ったれおっさんなのです。

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 公園に捨てられていた子猫だったルカは、なかなかつかまらず、ヘロヘロ状態になってやっと保護した時は、目も鼻もぐじゅぐじゅで、即入院となりました。口の中は真っ赤に腫れ上がっていて、「悪性リンパ腫で、手の施しようがありません」というお医者さまからの宣告。「おうちで看取りますか?」と言われ、骨と皮の軽い軽いルカを連れ帰りました。
「ひとりぼっちで死なせはしないよ。せめて生きている日々はお母ちゃんと一緒に過ごそうね」と、カンガルーみたいにエプロンのポケットに入れて家事をしたり、肩に乗せていいこいいこしながら、子守唄を聞かせた日々。。

人から「鶏ガラでとったスープがいい」と聞き、毎日何遍もに分け、少しずつ口にスポイトでそっと流し込みました。心のどこかで奇跡がおきるのを信じて。点滴通院も続けました。

そして・・・・8年が過ぎたころ、あごの周りにぐりぐりとあった腫瘍の塊りが、なんといつのまにか目立たなくなっていたのでした。猫缶をミルクでといた流動食も食べられるようになったルカ。少しずつ体重も増え、13年たった今では、体重も6キロに。「何と生命力の強い子ですねえ!!」と、お医者様を仰天させています。

医者に「手の施しようがない」と死を宣告されたルカの奇跡の復活は、ルイさんの注いだ愛情と、ルカ自身の生きようとする力とのみごとなハーモニーが生んだのだと思います。

え? 頑張ったルカのどこが困ったちゃんなのかって?

それがですね(笑)、口の中のぐりぐりが小さくなり炎症が治まって気分爽快のルカは、噛めるのが嬉しくて嬉しくて、ルイさん夫婦の鼻といいあごといい頬といい、ガシガシ噛みまくっているのですって。

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「ほかにも、ルカの困ったちゃんと言えば、電話をかけまくること」と、ルイさん。短縮ダイアルに飛び乗って勝手に電話をかけまくっているそうです。海外にかけていたことも。そんないたずらも、こうして生きてくれているからこそ。
 旦那さまは毎日のようにルカに話しかけているそうです。
「ルカはお母ちゃんが悲しむから、死なないで生きてきたんだよね~ 頑張ってお母ちゃんより長生きするんだよね~」と。
 この言葉を、ルイさんは、ポリオワクチン接種の後遺症で体の麻痺が少しずつ少しずつ進んでいく妻への夫からのエールでもあると、感じています。そして、自分とルカは、愛する者のために病気に負けないで一日一日の幸せを大切に生きていく「同志」であるとも。

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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

頑張っている人や猫がたくさんいるんですよね
わたしときたら・・・明後日に決まった大腸の検査にビビりまくっている有り様です
下剤を飲むのが辛いとかカメラが痛いとか
弱音をわんさか吐きそうですが、ルカちゃんのように物言わず必死に生きる猫たちのことを思えば
頑張れそうな気がしてきました

by にゃにゃ 2014-04-08 14:10

おっさん猫ルカ??
いぃ~じゃないですか!
NO PROBLEM.That`OK!
イイ味出してると思います。
末永くお幸せに!!

by クックロネコ 2014-04-08 21:39

>にゃにゃさん

 そうそう。猫たちって、人間の何十分の一の小さな体で、いろんな思いをしてるんですものね。それを思うと、頑張れますとも! 検査の結果がよいものでありますように!

>クックロネコさん ルカ君、いい味の猫さんでしょう? じつは「ビジュアル的には残念」とは、お母さんのルイさんの愛情ゆえの表現。ちっとも残念じゃないんです。世の中に残念な猫なんて(猫に限らず)いません!!!

by 道ばた猫 2014-04-09 10:16

猫の顔型ハウス可愛いですね
ルカちゃんにとてもお似合いです(*^^*)
奇跡の猫ルカちゃん!
ルイさんのためにも幸せに長生きしてくださいね

by わんにゃん 2014-04-11 00:57

昨夜、ある猫保護団体の、一歳になったばかりの保護猫さんがお空へ旅立ちました。
病名はルカくんと同じリンパ腫でした。ネットを通じてずっと応援していたので、
たくさん泣きました。ご飯が食べられなかったルカくんが、鶏ガラスープを食べて
元気になった話を知らせてあげようと思っていたのに、間に合いませんでした。
なぜこんな恐ろしい病気があるんだろう。
いつか、治せる方法が見つかると信じています。

by ららねね 2014-04-11 12:57

ルカの写真、その表情としぐさを見事に言い表していて、いいですね。

読み終わった後に、何度も写真を見ては、
うんうん、甘ったれおっさんだ と、納得。

末永く、甘ったれおっさんでいてほしいです。

by イリス 2014-04-12 01:40

>クックロネコさん
 わんにゃんさん
 イリスさん

 甘ったれおっさん、うちにもいるんですよお(笑)。外泊好きで挙動不審なおっさんなのに甘ったれケンジ。 いつまでも元気でいてほしいです。

>ららねねさん

 そうでしたか・・・。たった一歳で、空に旅だったとは。短すぎる一生でしたが、保護されて、心にかけてくれる人がたくさんいて、泣いてくれる人がいて、けっして不幸せだった猫とは言いたくありません。痛みから解放されて、うんと天国で遊びまわってね!!

by 道ばた猫 2014-04-12 11:13