ページ内を移動するためのリンクです。
ここからメインコンテンツです

[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2013年09月17日

卒業待ち

nekoblog148-1.JPG
 
 チャーミーは、人懐こくて、ほんわか穏やかな、その名の通りチャーミングな2歳の雌猫です。東日本大震災で被災した福島県内の人気のない町で、被災猫の母さんから生まれました。保護団体に保護され、保護主さんから、千葉県浦安市にある「キャットラウンジ 猫の館ME」に預けられ、生涯可愛がってもらえる家族に巡り合う日を夢見てきました。
 
 今日は、チャーミーの卒業の日。そう、チャーミーをとっても気に入って「うちにおいで」といってくれたニンゲンのパパとママが迎えに来てくれるのです。こうして、お気に入りのキャットタワーのてっぺんから仲間たちを見下ろすのも、最後です。
 
nekoblog148-2.JPG
 
 この猫の館でみんなとわいわい遊ぶのも楽しかったけど、これからは、自分だけを見つめてくれる家族と一緒です。ニンゲンが大好きで甘えん坊のチャーミーには最高の家族。迎えのケージに、自分から入ったチャーミーを、同じく福島からきた同期入所組のキャプテンがじっと見つめます。「さよなら、しあわせになるんだよ。僕も自分のうちをきっとみつけるから」とでも言うかのように。
 
nekoblog148-3.JPG
 
 キャプテンもこんなにりりしく優しい雄猫。すぐに気の合う家族が見つかるにちがいありません。この館は、どんなに居心地がよくても、保護猫たちにとって、あくまでも通過点でなければならない場所なのです。
 
 nekoblog148-4.JPG
 
 この「キャットラウンジ  猫の館ME」は、キャットシッターとして実績のある小倉さんが、今年7月はじめに開いた、里親募集型の保護猫ラウンジという画期的な試みです。保護主から預かる入所猫の定員は12匹。そのうち3匹を被災地からの受け入れ枠にしています。保護主さんによって譲渡希望条件は異なるため、ラウンジでゆったり猫たちと触れ合って、相性などをよく見極めてもらったうえで、幸せな縁が結ばれてほしいとの思いから作られた猫の館です。飼うのは無理だけど猫と触れ合いたいかたの入館も大歓迎。
 
nekoblog148-5.JPG
 
 物件探しを頼んだ不動産屋さんが大の猫好きで、普通のビルの2階だけどこんなに広くてシックなインテリアの物件を格安で探してくれたのだとか。玄関のお洒落な洗面台も、各部屋に備え付けの棚も、猫の館でそのまま使えるものばかりでした。
 
 
 ここのアイドル的存在だったジャムとチャーミーの相次ぐ卒業で、被災地からの3匹枠がキャプテンだけとなったために、入ってきた新入生は、茶トラの雄猫マイケルと、長毛の雌猫ジャスミン。どちらも、福島の被災猫2世として生まれ、ニンゲンの愛情も知らず必死で生き抜いて、保護された猫です。
 
nekoblog148-6.JPG
 
 保護団体のシェルター経由なので、すでに人慣れしていて、とても愛らしい2匹。天真爛漫な性格のマイケルは、どうやら早くもおうちが決まったようです。
 
 館には、いろいろな過去を持ち、いろいろな思いをしてきた猫たちが集まっています。「どの子もしあわせに送り出したい」というのは、小倉さんはじめ、スタッフ一同の心からの願い。
 卒業を待つ12匹のどれも個性的な面々のなかから、とりわけの個性派をご紹介しましょう。
 
nekoblog148-7.JPG
 
 机の上にデーンと寝そべっているサバ白さんは「まゆ」、推定5歳の雄猫です。端正な顔立ちで人懐こく、態度も図体もでかい猫ですが、まゆには、虐待された過去があります。
 近隣の町で、生活保護を受けているおばあちゃまから時折残飯を貰い、生きのびていた外猫時代、猫嫌いの住民からゴルフクラブで足を殴られて骨折、保護されました。よく人間嫌いにならなかったものです。
 
nekoblog148-8.JPG
 
 ここでご飯の心配もなく、のびのびくらせるのがうれしくて、ついつい他の猫にちょっかいをだしてしまうまゆくん。いじりがいのある対象は、目下、おとなしくて動きのトロい、マンチカンの入った白猫マツコです。
 
 nekoblog148-9.JPG
 
 マツコは、心優しく攻撃性がまったくないので、まゆにちょっかいを出されると、別室(大奥と呼ばれる休憩室)の窓の下で、爪とぎ段ボール箱を枕にいじけてしまうこともたびたび。デラックスなボディから、「マダム・マツコ」とも呼ばれ、女王様キャラだと見られがちですが、温厚そのものの猫です。こんな猫と暮らしたら、飼い主は心とろけるような甘い日々を送るはず。そのマツコの、保護されたときの写真が、これです。
 
nekoblog148-10.JPG
 
 飲食店から、食べ物を道に投げてもらっていたストリートキャットだったマツコ。きっともうすぐ「こんな可愛い子はいない!」と言ってくれる人が迎えに来てくれるよ!
 
nekoblog148-11.JPG
 
 さび猫テトラは、マンションの外猫として、何人かの住民にご飯をもらって何年も暮らしてきました。ところが、それをこころよく思わない住民たちが「処分」を言いだし、ここへ緊急避難してきたのです。警戒心がつよいため、まだボックスのなかにいることが多いのですが、ほんとうは、とっても甘えん坊さんです。
 
 ここでの共同生活を通して、目つきも体つきも、性格も丸くなって、卒業していく保護猫たち。「幸せな別れなので、泣かずに送り出しています」と、小倉さん。卒業させれば、また、新しい猫を入所させて、縁を結ぶことができるのですから。
 「きょうだいで迎えてやりたい」「被災地で頑張ってきた猫を」「若い猫は貰い手がみつかりやすいでしょうから、大人猫を」といった、小倉さんの「一匹でも多くの猫を幸せに」という願いに呼応するような申し出があるのが、小倉さんには何よりの喜びです。
 
 保護主、猫の館、里親さんと、繋がれていくいのち。小さないのちの輝きに、ぜひ一度会いにいってください。ミーちゃんのいる路地の「猫実珈琲店」からは歩いて20分くらいの距離です。

写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

Instagram

カテゴリ: 道ばた猫日記
  • ツイート
  • いいね!

みにゃさまのコメント

マツコちゃんかわいい

by 名無し 2013-09-17 17:30

キャットラウンジ、素敵ですね〜猫たちが思い思いに寛いでいて、本当のお家みたいです。
里親さんが決まった、チャーミーちゃん、マイケルくん、本当によかった^_^幸せになってね!!
被災地からの猫ちゃんたちも、本当に可哀想ですが、まゆくんの顛末を読んで涙が出ました。
虐待した人間は必ず報いを受けると思います。
でも、ほかの猫ちゃんにちょっかいを出すほど、やんちゃなコなんですね〜
なんだかホッとします。

一匹でも多くの猫ちゃんが幸せになりますように・・
わたしもできることからやって行きたいと思います。

by akiko 2013-09-17 18:48

すてきな試みですね。
そしてすてきな飼い主さんと出会えるねこちゃんたちが幸せそうでたまりません。

みんな、早く幸せになりますように。
そして一人でも不幸なねこちゃんが少なくなりますように。

by しーchan 2013-09-17 19:04

こういう多くの人の目にとまる場所に、猫たちが置かれている状況を
ありのままに書いておられること、本当に意義のあることだと思います。
幸せなこともそうでないことも、知ることで読み手は何かを受け取るのだから…。
おかけさまで「猫たちのために何かを」とあらためて思いました。
ありがとうございます。

by リリ 2013-09-17 19:47

今度、ここから黒猫兄弟を引き取ります(๑′ᴗ‵๑)
館のにゃんずは、本当にみんな、必死に生き抜いてきた子達です。そんな小さな命が、懸命に輝けるようにサポートしてくれている館の人スタッフさん方には、本当に頭が上がりません。
こうして記事になることで、少しでも多くの人に、『じゃあ自分にできることって』と、考えるきっかけにしてもらえるんじゃないかと思いました。私も、自分にできることからやろうと、改めて思いました。
素敵な記事を、本当にありがとうございます( ´艸`)

by ちひろ 2013-09-18 01:54

>名無しさん
>akikoさん
>しーchanさん

  

by 道ばた猫 2013-09-18 02:03

>ちひろさん

 ピングリの仲良し兄弟を、迎えてくださって、ほんとうにありがとうございます。おじいちゃん猫になるまで仲良く暮らせますように。我が家の5匹目も、黒猫です。隣の農園で大根の葉っぱを食べて生き延びていたので、「菜っ葉」ちゃん。神秘性と可憐さを賢さを、黒猫は兼ね備えていてると思います~

by 道ばた猫 2013-09-18 02:36

読みながら、涙がこぼれないようにするのがやっとでした。・゜・(ノД`)・゜・。
大人にゃんこ達の幸せ早くやってこーい

by sheep 2013-09-18 11:14

読みながら涙がこぼれないようにするのがやっとでした
早くにゃんこたちに幸せがきますように

by sheep 2013-09-18 11:18

ちゃーみーの卒業前の落ち着いた顔を見て、こんな表情ができるほど安心してるのだ、よかったなと思いました。住まいの関係で猫と暮らせませんが、いつか猫を迎えるときは過酷な状況で頑張ってきた猫に来てもらいたいです。

by 名無し 2013-09-20 11:49

すてきな ハウス ♪

わたしもがんばろう!

いつか 猫小屋を こんなふうに オープンにしたいな ~☆

by ruineko 2013-10-05 14:21

>みなさん

 マツコ、まゆ、テトラ・・・。卒業のときには、また猫日記でぜひ紹介したいです。その日が近からんことを!

by 道ばた猫 2013-10-09 00:17

datingtheir HVACシステム際、2011Busi mailサービスを有料ものとして変化しますが、その24.99すべてをsurgery.Taking胃バイパス次のような個人ます。 あなたは、潜在的な成長のある分野について詳しく説明しっている歯科矯正になるwanted.Orthodontics 良いのは、あなたがゼロ義務やリスクに無料で登録することができ唯一の欠点は、この手順では、治療部分はbody.Thereの ための男性の性器の神経をリラックスしても食品や果物のlibi べての若い年齢でこの手順を求める患者につながることができます、蜂蜜の多数の健康上の特性について知っているが、あなたのほと 10倍以上の金額がかかります。

インデックスは、その築することができる唯一の​​方法は、あなたの支払いが速やかに行く、それはそれはとても楽しい作るものの巨大な一部です! な税者が支払わなければならない。

GBC SureBin

by choolfemovemn 2014-09-30 08:03

lbusiness努力と、彼らはそこに自分自身されているので

by choolfemovemn 2014-09-30 15:07